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地味に続く介護

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故郷に残る一人親への対応を中心に、関連する話題を書いてまとめています。黄昏時のサラリーマンが直面しつつ、あまり会話に出てこない内容なので、斜め読みして頂くことで取っ掛かりとしてお…
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#認知症

進む認知症⑥(いずれはわが身…)

進む認知症⑥(いずれはわが身…)

普段の生活で、自分自身が「え〜っと、アレアレ!」と名称を言えなくなることが増えている。人についても、顔は浮かぶのだけど名前が出ないことが多々ある。

今日はアレとコレをやろう、と段取りを組んだつもりでも、アレをやっているうちに、何かもう一つやることがあったことは覚えているのだけどその内容(=コレ)を忘れる。時にはもっと激しくコレの存在そのものをきれいに忘れていることも、残念ながら起こってきている。

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進む認知症⑤(誰も悪くない、でも皆がツラい)

進む認知症⑤(誰も悪くない、でも皆がツラい)

認知症患者との関わりを子どもの時に経験すべきでは? との思いが浮かぶのは、多分に感覚的なものだとは理解している。大人になってからのハシカが、時に命取りとなるくらいのダメージを与える。そんな感覚である。

私はもちろんだが、姉は私以上に強く心にダメージを負ったらしい。相対的に私より実家の近くに住んでおり、ちょっとした用事は姉が前面に立って処理してきた。だからこそ、娘としての認識が失われてしまったこと

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進む認知症④(人の例も聞いてみる)

進む認知症④(人の例も聞いてみる)

母との面会を終えて帰宅。夕食後、母とのやり取りの顛末を妻に話した。すると妻は「あなたやお義姉さんって、周りに認知症の人っていなかったの?」と尋ねてきた。

そう言う妻の祖母も、生前に認知症を患っていたようだ。ふらっと家を出て帰って来ず、田舎の隣近所が総出で捜索したりすることもあったらしい。

妻の祖母は、妻が小学校低学年の時に亡くなったそうだが、幼いなりに「おばあちゃん、変だ」とは思っていたという

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進む認知症③(忘れられることをやむなしと思えるか)

進む認知症③(忘れられることをやむなしと思えるか)

「お母さん、覚えていないでしょう? お昼に食べた物だって覚えていないんだから、先月に会ったことだって忘れちゃうよね」

少し、気の毒な質問であったかも知れない。しかし、ここで母が
「お昼ごはんなんて食べていない」
と言い出さなかったことは、ホッとした。もしそう言い出したら、更に認知症が進んでいることになるからだ。

母の脳裏に(もしかしたら目の前のこの二人は自分の子どもで、本当に先月にも来ていたの

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進む認知症②(理屈と情のせめぎ合い)

進む認知症②(理屈と情のせめぎ合い)

しかし、冷静に考えるとおかしい。我々が自分の子どもだと認識できていないのであれば、何で「赤の他人」に対して2年ぶりだと無沙汰を責められるのか?

単に「よく見かける人」であるならば、そういう反応にはならないだろう。ちぐはぐな気がした。

更に、今まで我々が会うようにしてきた努力が、きれいに忘れられてしまった事実は、残念ではあるが仕方がない。まさに認知能力の喪失が原因である以上、能力が失われたことを

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