ケルティックハープという楽器を広めるために。本場スコットランドでCDアルバムを制作し、世界に挑戦したい!
ケルティックハープという楽器を広めたい!という想いでスコットランドに音楽留学している松岡莉子です。
スコットランドに来て3年半が経ちます。
今月、英国王立スコットランド音楽院の伝統音楽学科の修士課程を修了し、日本への帰国が迫っています。
現在、日本人初のスコットランドでの学びを経て、最後にその成果をCDアルバムに残し世界に挑戦したいという想いから現地でレコーディングを始めています。
今だからこそケルティックハープ奏者としてスコットランドで演奏機会を頂けるようになりましたが、留学前・留学前半は不安ばかりが募っていました。
少しでもこの話が誰かの希望になればと思い、これまでのことをnoteに綴りたいと思います。
長くなりますが、お付き合い下されば嬉しいです。
ケルティックハープとは?
ケルティックハープとは、22弦~34弦からなる小型のハープで、アイルランド、スコットランド、ウェールズなどのケルト文化圏で古くから演奏されてきた伝統的な楽器です。
近年はフランスのブルターニュでも演奏されています。
日本ではアイリッシュハープとして知られ、徐々に人気が高まっているように感じます。
ケルティックハープとの出会い
私のケルティックハープとの出会いは高校生でした。当時からグランドハープと言うクラシック音楽を演奏するハープを弾いていて、ハープ奏者になるのが夢でした。
しかし、家庭の事情で音楽大学進学を諦め一般の大学に入学。
ただ、やはり音楽が好きという気持ちは変わりませんでした。
大学在学中は、いつかはケルティックハープ奏者になりたいという思いを心の奥底に持ちながら、演奏を続けていました。
毎日CDを聴いて海外のケルティックハープ演奏家のスタイルを研究し、独学で勉強する日々が続きました。
アイルランドやスコットランドの伝統音楽、世界的に有名なスコットランド出身のケルティックハープ奏者、カトリオーナーに出会ったのもその頃です。
海外のケルティックハープ奏者の演奏を見て独学で勉強していたのは、日本に指導者がほとんどいなかったからです。
この後、現地で指導を受けるために短期でアイルランドやスコットランドのハープフェスティバルへ行くことになります。
そこから本場のスコットランドで勉強する為に、
一歩一歩小さな目標を立て、2016年に念願だったスコットランド音楽留学を開始することができました。
スコットランドへ
紆余曲折ありながらもスコットランドの地で伝統楽器のハープを学び、奨学金をもらいながら今月大学院を卒業することができました。
聞く限りでは、アジア人初のスコティッシュハープ専攻卒業なのだそうです。
昨年は、イギリスで一番大きな伝統音楽を弾くハープコンクールに出場させていただく機会に恵まれました。
私以外が全員スコットランド出身者さらには、音大で教える方が複数いたにも関わらず、優勝出来た事はとても驚いた出来事でした。
ただ、どの出場者よりもコンクール準備のために時間・労力をつぎ込んだという自信はありました。
その自信により、当日演奏を楽しめたことが優勝に繋がったのだと思います。
Photo credit: Armadale Castle
スコットランド留学中、毎日自問自答していたことがあります。
日本人というバックグラウンドを持ちながら、スコットランドの伝統音楽を勉強するという大学院での生活は苦しいことも多くありました。
今まで楽しくハープを弾いていた生活から、競争社会へ放り込まれた気分でした。
努力でカバーする以外ほかはないと思い「この学校のどの生徒よりも練習する」という目標を立てて毎日を過ごしていました。
・練習法
・食事
・睡眠の質
・歩きながら聴く音楽
起きている時間はほとんどハープの事を考えて過ごしました。
努力をして結果が出るかは分かりませんが、努力をすると少しでも昨日の自分より成長できたような気がして、明日へ進むモチベーションになっていました。
スコットランドで出会った仲間の存在
大学院在学中には、沢山の刺激的な仲間にも出会いました。
自分の生まれ育ったスコットランドの伝統音楽を伝えていきたいという想いで勉強しているスコットランド出身の学生はもちろんですが、私のように他国出身ながらスコットランド音楽を学ぶ学生にも多くの刺激を受けました。
それは、皆それぞれが志を持っていたからです。
香港にバグパイプの教室を作り、世界から講師のバグパイプ奏者を招き、音楽の楽しさを子ども達に伝えたいという友達、
フランスの小さな村でスコットランドの音楽家を呼んでケルト音楽祭を開きたいという友達、
世界に名を残す有名なハープ奏者になるという目標を掲げている友達
など…。
皆んな目標があって、スコットランドに音楽を勉強しに来た人ばかりでした。
音楽が好きというのに加え、みんな使命を担っているような、そんな雰囲気でした。
そんな友人達とスコットランドで過ごした2年間は、掛け替えのないものでした。
今後は別々の場所で新たなスタートを切ります。
ハープ奏者としての使命
そのような環境にいる事で、私も自然とケルティックハープ奏者としての使命を考えるようになりました。
そして、まず一番に思うのはケルティックハープの音色を通して、音楽の感動を伝えたいということです。
それは、これまで私もハープの音色に救われ、この楽器から沢山の感動をもらったからです。
日本への帰国後は演奏活動・指導を通して、ケルティックハープの楽しさを広めたいと考えています!
そして2つ目の目標は、
いつかは日本のケルティックハープ奏者の皆んなで世界に日本のハープ音楽を発信したいと思っています。
これまでスコットランドでハープを演奏してきて感じるのは、世界では「日本人の私だからこそ弾ける音楽」を求められているという事です。
これからの演奏で大切にしたいのは、これまでに学んできたスコットランド伝統音楽に加え、日本の音楽です。
現在取り組んでいる集大成のケルティックハープのアルバムには、スコットランドの伝統音楽に加え、日本の童謡の「あんたがたどこさ」をスコットランドの伝統曲のスタイルでアレンジした変奏曲なども収録する予定です。
日本人のケルティックハープ奏者として今伝えられる音楽を世界・そして日本に届けたいと考えています。
1人でも多くの方にハープの音色が届くように…。努力を続けて参ります!