日常のあはれ|育児日記
2024/3/10 5m24d
昨夜、寝る直前に思い立って映画『PERFECT DAYS』を観に行くことにした。自分のための予定のない日々が続くと心が腐ってしまいそうだったからだ。この作品の詳細はほとんど何も知らず、話題になっていたからという理由で適当に選んだのだけれど、とてもよかった。図らずも、今のわたしに通ずる内容だったように思う。
役所広司がそのへんのおっさん役として、トイレ掃除の仕事をしたり、銭湯に行ったり、行きつけの店に飲みに行ったり、コインランドリーに行ったり。朝起きて植物に水をやり、就寝前に小説を読む風景。淡々とルーティン化された生活を送っているだけなのに、それでもやっぱり大なり小なりなんらかのイベントは起きて、良くも悪くも心を掻き回される。そんな暮らしぶりがとても素敵に見えた。独り身で贅沢もせず、一見きつい仕事に従事する彼は、満ち足りている。彼は、その生き方を自ら選択している。だから、心から納得しているし、楽しんでいるのだ。同じような日々の隙間にちょっとした「あはれ」を感じ取ってはにこりと微笑む姿。人生における理想の到達点じゃないか。
わたしは、どうだろう。育児を言い訳に家にこもり、鬱憤を溜めているわたしは、この生活を選んでいる張本人だ。嫌々やらされているわけではない。むしろ望んで手にしたものだ。それなのに、その価値を自ら上げたり下げたりしては一喜一憂して。ないものに目を向けるのではなく、あるものを尊ばなければ。今度は今度、今は今。そんな台詞があった。今は、今を慈しむとき。そう思うと早くくんちゃんに会いたくなって、一人時間をどうにか充実させようと企てていたのをあっさり取り下げ、即帰宅した。
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