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ファンタジーは不滅です! 【読書 #03】森見登美彦 『四畳半タイムマシンブルース』


学校の読書タイムを利用して、次男(中3)に本を読ませたい!絶賛キャンペーン中。
第3弾は、森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』。

なぜこの本か…というと、次男のために『推し、燃ゆ』をメルカリで買おうと思ったら、出品者さんが2冊買ったら1冊50円引きという「まとめ割」をされていたからだ。


せっかくだからもう1冊買おう…と、出品者さんの出品書籍の中から、この本を見つけた。
森見作品といえば『夜は短し歩けよ乙女』しか読んだことがないが、中村祐介のファンタジックな表紙の絵に魅かれて、まとめ購入した。『推し、燃ゆ』と合わせて、2冊で550円。有り難い。

『四畳半タイムマシンブルース』は、森見の小説である『四畳半神話大系』と、上田誠の戯曲『サマータイムマシン・ブルース』のコラボレーション作品である。

読んでから知ったのだが、ネット情報によれば四畳半はシリーズになっているらしく?『四畳半神話大系』→『四畳半王国見聞録』→『四畳半タイムマシンブルース』という順番で読むのが、おすすめらしい。
いきなり『タイムマシンブルース』を読んでしまったが、とくに前作を読んでいなくても困らなかった(と思う)。


どんなお話か…というと、ネタバレしない程度に紹介。

炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか?「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さんと対策を協議しているとき、なんともモッサリした風貌の男子学生が現れた。なんと彼は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。そのとき「私」に天才的なひらめきが訪れた。このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持ってくればいい!小津たちが昨日の世界を勝手気ままに改変するのを目の当たりにした「私」は、世界消滅の危機を予感する。

『四畳半神話大系』と『サマータイムマシン・ブルース』が悪魔合体?
小説家と劇作家の熱いコラボレーションが実現!

『四畳半タイムマシンブルース』帯より

紹介動画もあるので、こちらも。


タイトルにあるとおり、タイムマシンを題材にしたファンタジー小説である。

ただ、森見小説を読んだことがあればわかると思うが、森見の文体は古風で、独特である。読み始めは癖のある文体に気を取られて、ファンタジー小説であることを忘れてしまう。

これが森見小説の面白いところだと思う。
ファンタジーなのに、ファンタジーであることを感じさせない世界観。

ファンタジーとはいえ、読書慣れしていない中3男子が、森見小説を読むことができるだろうか…という、一抹の不安はあったが、ダメ元で次男に本を渡した。

読み始めの数日は「なんか、読みづらい」と言った次男。読み続けられそうか?の問いには「大丈夫、読める(と思う)」との返答。でも心配は不要だった。
森見ファンタジー、面白くないわけがない。ストーリーが面白ければ、言葉が多少難しくても、読みすすめられる。 

次男に本を貸して2週間ほど経ったころ、『四畳半タイムマシンブルース』が戻ってきた。

「面白かったから、おかわりしたわ」

「おかわりしたらさ、発見があったね。
 1回目じゃあ、気がつかなかった伏線も、
 回収できたしね。」

えーーーー!
確かに面白かったけれど、2回続けて読むほど、面白かった⁉︎ と驚きが隠せなかった。
おそるべし、森見作品。

『成瀬は天下を取りにいく』の成瀬ほどじゃないけれど、登場人物がクセ強めだけど魅力的なのが、いいんだろうなぁと思った。

次男から

「はやく、次の本貸してよ」

と言われ、
母は自身の選書センスに、少し自信を持ち始めたことを、ここに記す。


なお『四畳半タイムマシンブルース』は、2022年にアニメ化されています。


小説の冒頭部分の映像化は小説に忠実で、素晴らしいと思うが、個人的には、この作品はやっぱり本で楽しんでほしい。



2024.6.23

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