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推し活はソフトホラー? 【読書#02】宇佐見りん「推し、燃ゆ」(ネタバレなし)


学校の読書タイムを利用して、次男(中3)に本を読ませたい!
絶賛、キャンペーン中である。
記念すべき1冊目は、宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」だった。


とんとん拍子で1冊、2冊ときたが、問題は3冊目。1、2冊目がうまくいっただけに、3冊目が要。ここで転けると、本好きになれない可能性がある…と、私は慎重になった。

手堅くいこうと本屋大賞2位だった、津村記久子「水車小屋のネネ」を読み始めた私だったが…小説の冒頭が、思いのほか重かった。ページ数が482と本に厚みがあるだけに、最初でつまづきがちだ。この本は次男には時期尚早だな…ということで。

2024/5/14  X投稿


宇佐見りん「推し、燃ゆ」。
2020年発行、164回芥川賞受賞作。

表紙がピンクで、125ページ。ポップでライトな本かと思いきや、うっかり軽い気持ちで読み始めると、驚くほどに深かった。本を読んでいるうちに沼に落ちたような、足元がどろどろするような嫌な感じがあった。

『成瀬は天下を取りにいく』の主人公・成瀬が太陽に照らされて歩くタイプ、とすると、『推し、燃ゆ』の主人公・あかりちゃんはうす暗い夜道を歩くタイプだ。小説に描かれる人生は、いつも明るいときとは限らない。
どろどろ小説を、中学生に読ませてよいのだろうか…と悩みつつも、私は本を次男に渡した。


私にも、次男にも、推しがいる。
推しがいることで、退屈な生活に彩りが生まれる。つまらないことがあっても、頑張れたりする。
推しは、生活の活力である。
推し活、サイコー!

…となりがちだが、果たして本当にそうだろうか。

次男から教わったが、『推し、燃ゆ』の主人公・あかりちゃんみたいな子を「限界高校生」と呼ぶそうだ。言い得て妙だ。


誰かにとって特別な存在に
なりたい。承認欲求の塊かも
しれんけどこれには明確な理由が
あるんですよ。

次男Xより


そういう気持ちが、私にもあったかもしれない。自分がなぜそう思ったのかは、もう思い出せないけれど、次男の「誰かにとって特別な存在になりたい」理由は、いつか聞いてみたい。


でも、特別な存在にはなれないから、自分の推しが他の人から注目を集めていることで、自分の承認欲求を満たしちゃっているのかも。
くわばら、くわばら。




2024.5.22

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