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双眼鏡で見た名優の目に、たぶん涙がキラリと美しく光っていた! 仲代達矢 役者生活な、なんと70周年記念作品!! わし流 芸術の春2022④「左の腕」無名塾/シアター1010

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還暦のワシが生まれたころにはすでにクロサワの「用心棒」で、いまや伝説の悪役で世に出ていた名優、仲代達矢。

続いてやはりクロサワの「椿三十郎」でやっぱしワルやったかとおもえばそのあとの「天国と地獄」では警察側のいい刑事、小林正樹の「人間の条件」では戦時下における等身大の青年の成長、市川崑の「炎上」では雷蔵と共演、木下惠介の「永遠の人」では屈折した役で少年時代の田村正和の父親、tたぶん勝沼あたりでロケした成瀬己喜男の「娘・妻・母」で原節子と共演、五社英雄の「雲切仁左衛門」ではワシんちから遠くないお寺でロケ敢行、「ハチ公物語」ではハチが待ち続けた飼い主の先生。ワルで〝世界デビュー〟したもんだからイタリアに招かれたマカロニウエスタン「野獣暁に死す」で憎々しすぎる悪役。あ、これDVD買ったな。

テレビでは大河の「新・平家物語」で清盛、正和が和賀を演じた松本清張の、ミスター引退の年を設定にした「砂の器」で今西刑事、NHKの「大地の子」、藤沢周平原作「清左衛門残日録」は全話録画してあったな。記憶だけで並べてみても役者生活70周年となるとその作品は「オールスター級」。

が、ホームグラウンドであるはずの舞台はワシ、一度も見たことなかったので、「名優が元気なうちに…」とばかりにチケットを抑えたのである。抑えたとはいえ、このコロナ禍、やむなく中止ということもありうるので、発券は公演前日までしなかった。前日に発券したあとは、「中止になると払い戻しがめんどくさいかもしれんな…」なんて直前まで心配したくらいである。

が、公演は無事、行われた。察するに、なるべくスタッフ・キャストをコンパクトにして密を極力避けたとおもわれる。このあたりにも名優が70年、いろいろなことを誠実にやってきたことが想像される。また、ここは10年くらいまえにイッセー尾形の一人芝居を見たところだが、すっかり忘れていたものの、マイクなしでやるにはちょうどいいとおもわれる劇場であった。ワシんちから遠いから昼間でないと行く気しないけどね…。

今回の原作は「砂の器」と同じ松本清張。ただし時代物である。「左の腕」とは、たぶんあ~ゆう意味なんだろうな…と思っていると、やっぱしそうであった。初めて生で見る名優は、静かな話ながらも圧倒的存在感!! が、立ち回りはさすがに往年のアクションのようにはいかなかったようである。こりゃそうだ、かれこれ90歳だもんね。

冒頭に長々と書いたように物心がついてからずっとの映像での作品群をなんとなくオーバーラップしながら見たわけである。2階席からときどき双眼鏡でアップにしてみた。そして…ラストの名優の目には、たぶん涙がキラキラと、美しく光っていた。この瞬間はこれまでの作品とはもはや関係なく、「やっぱり生で見てよかったなぁ」という、ワシにとって最高の名場面だったのである。

と、思いつくまま、敬称略で書いてみました。無名塾に入塾希望…のはずはありませんが、Tシャツがかっこよかったので購入。


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