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呟きとメモ

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つぶやきやメモを集めたものです。新聞や本で見つけた言葉も含まれています。
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#山田詠美

山田詠美のゴールデン街とMUGEN

山田詠美のゴールデン街とMUGEN

 今週は、この作家のMUGENでの思い出が語られているが、先週は、ゴールデン街で見聞きしたことが書いてあった。

 彼女はゴールデン街でもバイトをしながら、売れている作家とまだ売れてない作家の会話を観察し、こうスケッチしている。

 すでに売れている作家が、まだ売れてない作家について言う「あいつは才能あるのにまだチャンスに恵まれてないだけなんだよな」みたいなことば。これは何だかいやらしい、と。そし

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山田詠美の"guts"

山田詠美の"guts"

 今日の毎日新聞、山田詠美『私のことだま漂流記』は、ギャルコミ『ギャルズライフ』で漫画を描いていた山田さんが、編集者のMと険悪になっていった話から。

 何でも山田さん、お払い箱になる最終回には数ページの描き直しが命じられた。「しかも、そうさせた原稿を自分で確認することすら放棄して、アルバイトに取りに来させ」、そのバイトの女の子にも馬鹿にされて笑われてしまった。

 "I hate his(her

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山田詠美の「才能」とは

山田詠美の「才能」とは

 「でも、それは、その人のうちに、まだ眠っている原石があればの話だ。悲しいことに創作という分野では、「才能」という正しい不公平が歴然としてある。」

 今日の毎日新聞「私のことだま漂流記」には山田さんが考える「才能」についてわかる文章があった。「正しい不公平」、それが「才能」なのだ。

 才能、特に天才という言葉は、わたしはあまり好きではないが、人は皆、違う何かを持っているというのは、そうかもしれ

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山田詠美のことば

山田詠美のことば

 毎日新聞連載、今日の山田詠美『私のことだま漂流記』(21)を読む。
 ロシアの「文学至上主義」者のことが最初の話題になっていた。そして彼らは「皆、心にプチ・プーチンを住まわせている!」と容赦ない。
 
 文学の芸術至上主義者ばかりでなく、美術家や、すべてのアーティストと称される人々の心に、「プチ・プーチン」がいないかどうか、自省してみる必要があると、日ごろから私は思っていたので大いに同感だった。

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山田詠美、宇野千代、良寛

山田詠美、宇野千代、良寛

 2021-10-17の毎日新聞を読む。文化面で印象に残った読み物は、山田詠美の『私のことだま漂流記』「初恋はジャズの音階」と、島谷弘幸の「書の楽しみ」で紹介されていた良寛筆の七言絶句だった。

 山田詠美の宇野千代に触れた部分の「哀切」についての記述が、特に読ませた。
 この「哀切」こそ山田さんの文学の核になっていたものの一つだったのかな、などと自分なりに合点した。

 
 良寛の書は、小川芋銭

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