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山田詠美、宇野千代、良寛

 2021-10-17の毎日新聞を読む。文化面で印象に残った読み物は、山田詠美の『私のことだま漂流記』「初恋はジャズの音階」と、島谷弘幸の「書の楽しみ」で紹介されていた良寛筆の七言絶句だった。

 山田詠美の宇野千代に触れた部分の「哀切」についての記述が、特に読ませた。
 この「哀切」こそ山田さんの文学の核になっていたものの一つだったのかな、などと自分なりに合点した。

 
 良寛の書は、小川芋銭の書に関心があったので、目を通した。

 「十字街頭乞食了 八幡宮辺方徘徊
 児童相見共相語 去年癡僧今又来」

 良寛の詩、なにも気取らず、実にいい。子どもたちに見られている自分をそのまま描写している詩だろうか。
 その時の情景と良寛の心の中が眼に浮かぶようだ。
 これを読むと、自分も子ども時代に、そういうふうに人を見、ひそひそ語ったことがあるような気がする。

 そして、このような草書体が書けるのが、また、現代の私らから見るとなんとも「カッコいい」。これこそ、今の年齢の私にとって「カッコいい」ものの一つだ。
 もとよりこの詩を知らないと、読み方すら難しいが、せめてこういう詩を初見で読めるようになりたい。
 

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