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にげきる

ゾンビに関しては、全く知識がないのだが、夢に出てきた。

学校か、それとも旅行先か。でも一緒にいるのは家族ではなく、『仲間』みたいな人たち。関係性が全くわからないのだけれど、合宿のような、そんな感じの環境だ。穏やかな日常のようである。

が、突然、一人の男性がおかしな行動に出た。周囲にいる学生たちに噛みつき、噛まれた人はどんどん腐り始める。こ、これは…伝染病?

わたしは腐っていく人たちに触れてはいけないと思い、仲間たちに逃げるように言う。走れ。とにかく走れ。しかし、走りきったところで振り向くと、そこにはもう何もなかった。

何人かが力を合わせて、最初におかしくなった男をぐるぐるまきにしてスーツケースに詰めたら、全員が倒れて消えてしまったと言う。わたしはすっかり安心して、昼寝をした。うつ伏せに寝ていると、背中に触る人がいる。誰だろう。それはわたしが好意を持っている男性だった。顔がハッキリ見えないが、たぶんそうだ。

わたしは不意に不安になる。ヤツが蘇って、わたしたちを襲うだろう。スーツケースから飛び出してくるんじゃないか。

わたしは「あのスーツケースをどうにかしなくちゃ、危ないから」と言って、周囲の人たちに応援を頼むが、誰も気にしない。「大丈夫、大丈夫」「スーツケースの鍵は閉まっているし、中から開けられやしない」と言って、呑気に漫画など読んでいる。いや、まずいよ。きっとまずいことになる。

わたしはおそるおそる、そのスーツケースが置かれている階段の踊り場へ向かう。やはり校舎のようで、踊り場の窓からは太陽の光が射している。

予感は当たった。スーツケースがわずかに揺れ始め、隙間からじんわりと腐臭を伴う緑色の液体が溢れている。これはヤバイのではないか?次の瞬間、その隙間からブワッと顔が飛び出した。すでに皮膚は腐りきっていて、緑色と黄土色がマダラに混ざった粘液が、頭蓋骨からダラダラと流れている。髪はまだ残っていて、前髪が揺れている。こ、これがゾンビ…。

早く!スーツケースが開く前になんとかして!紐を!と、わたしが叫ぶと、ビニールの荷造り紐を誰かがよこす。その紐をスーツケースにかけようとするのだが、近寄ると顔が威嚇する。噛まれてはならない。指先に、緑色の粘液が付着する。気持ち悪い。なんとかしなければ。

そう思ったとたん、ズルッと上半身が出てきた。ギャー。逃げろ!わたしは左手を掴まれ、手のひらを噛まれた。わー。もう、これでおしまいだ。
しかし、すぐにゾンビは倒れた。誰かが金属の棒で突き刺した。だが、わたしは手のひらを噛まれている。時期にわたしもこうなるのだろう…。

絶望するわたしは自分の手のひらを見た。あれ?歯が当たったところはうっすらと赤くなっているが、皮膚を噛み破られてはいない。あれは甘噛みだったのか。なんと。助かった。イエーい。

のんびりしてはいられない、早く片付けなければ、と誰かが言って、わたしもどこから手を付けるか考えていた。すると、階段の上の方からギャー!と声がして、数人が駆け下りてきた。

「ゾンビだ!逃げろ!」わたしは足がもつれそうになりながら、とにかく走った。走って、走って、走った。しかし思うように足が前に出ない。それでも、とにかく前を目指した。

「もう大丈夫」と誰かが言って、「逃げ切った」と、わたしは安堵した。

目が覚めて、初めて見たゾンビのことを思い返した。あれは、もしかしたら身内か知人だったのではないか?噛みついても甘噛みして、助けてくれたような気がするからだ。


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