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商業出版する方法#73〜需要不確実・実績も乏しい。でも自分が書きたい!伝えたい!と思う本を出したい、場合はどうする?

元KADOKAWAの編集者でビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。

タイトルの通り、「需要はあるようないような」「そのテーマを語るにはあなた自身の実績が乏しい」・・・でも!「自分としてはこの本を出したい」「このテーマで書いて伝えたい!」と思っている・・・。
この件についてちょっとお話しします。

こういったシーンで悩む書き手は多いのかもしれませんね。特にすでに著書を出した経験がある著者に多い相談かなあ、、とも思います。

というのもね。最近すでに自分の得意ジャンルで著書を出している人が「自己啓発的・生き方指南本を出したい、と考えている」と別テーマでの出版ご相談があったんです。

ご自身が著書を出し、その活動中において、色々と思うことがあったようで、企画が浮上した模様です。

セオリーから言うと、編集者は止めますね。だって著書テーマのプロであっても「自己啓発のプロ」としての実績がどれだけあるのか不明だから。
自己啓発や生き方指南に特化したセミナーや講座、発信を大量にやってて、オリジナルメソッドやメッセージ、なんらかの実績が確立しているなら別ですが、目に見える形で行っていない状態で「畑違い」のテーマ・企画を出版社に提案しても、なかなか納得してくれづらいのは目に見えています。

そして案の定というか、企画書の内容を見ても項目案にも一貫性が乏しくなりがちだと見受けられました。

まあ、私の場合そういったことを編集者視点でズバリ申し上げてしまうことから臆せずお伝えはしましたけど、やはり基本セオリーとしては「著者のステイタスの延長線上で企画を考えた方が、出版化にはいたりやすいかな」って思います。

自らの仕事・肩書きを基盤としながら、別のネタ・テーマを巧みに「掛け合わせていく」ってことでしょうかね。
この方の場合は、やはり著書テーマのプロだからこそ、自分の得意軸を中心として、そこを通して生き方や自己啓発的なエッセンスを盛り込む、、といったイメージでしょうか。

要は「切り口を変える」というアプローチがいいんじゃ無いかな〜と思ったりはしたわけですが。

でもね。やはり「書き手」という人たちはなんらかの「パッション」が書き手ではない人と違って、ボルテージが違います。
なんでしょうね〜。自分の伝えることは、伝わる!と心底思っている。信じて疑わない!だから「需要があろうがなかろうが、関係ない。メッセージとして伝えたいんだ」みたいな潜在意識を持っている人もいるっちゃあ・・・、いますよ。

伝えれば、みんな幸せになるはず!!って感じかな?


正直編集者は、マーケター気質も旺盛なので、そんな著者の「ひとり盛り上がり」をことごとく打ち砕いては、市場の現実を突きつけてクールダウン化させていくわけなのですが・・・そうであっても最終的に大切なのは意外にもこの「ひとり盛り上がり」だったりもするわけで・・・。
最近耳障りの良い言葉に直せば「熱狂」ってやつですかね。

しかし時としてこの「ひとり盛り上がり」が市場の現実を打ち砕き、まさに「巻き込み」を起こす場合もあるんです。


この博打みたいな、キセキが起こってしまうのが「出版市場」です。
よって「あれ、なんでこの本売れてるの?」「なんでこのテーマの本が出てるの?」って感じで、セオリーを今ひとつ無視しているのに話題になる本がある。だから、不確実性が高い業界・マーケ特徴があるとも思います。

結論!
結局ね。市場的に、売れやすいか売りづらいか、色々様相はあるにせよ、あなたが本当に本気で「やっぱこの企画・このテーマで出版したいんだー!」と強い覚悟と、思いがあるなら、それで突っ走ってみてはいかがですか?って話です。
商業出版だから、最終的には「あなたのその思いや企画を、受け入れてくれる出版社があるかどうか」だけになってくるわけだから。とにかくとことん自分の感覚や企画を信じて出版社にアプローチしてみる、企画を送ってみる。行動を起こしてみる。そこで、どんな反応と結果が出るのか、を検証して次の機会を生かす。が大事になってくるんじゃないでしょうか。
要は「出版PDCAを回す」しかないのです。

本は時代をうつす鏡とも言われます。そしてその時代を作るのは紛れもなく「人」です。

人は「変化」するでしょう?心も体も、いつまでもいつまでも一定・安定ということはありえない。変化という点にフォーカスするだけでも、その内部は「波乱万丈」に満ち溢れ、心変わりもふわふわと「日和み」だったりする。

本もその影響をモロに受けることが多いです。かつてより定番的に売れるテーマもあるけど、ある日突然「新しい価値」が登場し、一世風靡・ベストセラーに躍り出ることだってある。

だから、セオリーも大事ですけど、思いが強く強固にあるのであれば、それを抱えて突っ走って行くことも著者の一つのあり方だし、本の出し方・活動の方法だとも思います。

というわけで「需要不確実・実績も乏しい。でも自分が書きたい!伝えたい!と思う本を出したい、場合はどうする?」への答えとしては、、

どんなアンチ意見が出ようと、市場性に乏しく出版社を説得しづらかろうと、あなたがそれを出したい!書きたい!なら「やってみてはいかがですか?」「出版社に企画を持ち込んでみてはどうですか?」って話です。
もしかしたら思いも寄らないキセキに出会えるかもしれない。受け入れてくれる出版社や編集者が現れる可能性だってゼロでは無い。確率は低いと想定はできるけど。でも、やってみなければわからない。


そこに計算も戦術もない。最後に頼みになるのは、ピュアな思いだけだと考えます。実際「ピュア」さほど、熱量の高いものはなく、ピュアであるゆえの現状打破破壊力も高くなるケースだってありますから。

何か参考になれば幸いです。


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