和歌から紐解く「令和」という元号

Wellbeingのあり方を追求するイメージコンサルタントの あべりかです。
今日は、令和の典拠となった和歌から日本語の楽しさを、そして元号が私たちに伝えるメッセージを振り返りたいと思います。
というのも、昨晩、緊急事態宣言の発出で菅首相を拝見して、「令和」を発表したおじさんだったのになぁ、と思ったからです。令和の由来になった和歌から紐解いてみましょう。

*Wellbeing=身体的にも、精神的にも、社会的にも「よい状態」であること

令和の典拠となった和歌

「万葉集」の巻五 梅花の歌、三十二首の序文

初春の令月にして気淑(きよ)く風和らぎ
梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き
蘭は佩後の香(こう)を薫らす

訳:「時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉(おしろい)のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている」 
「萬葉集 全訳注 原文付」中西進より      

万葉集から生まれた元号

「令和」という元号は、今までと比べて、とても文学的な出典です。
この万葉集には自然が多く歌われており、当時の安倍首相の「日本が持つ四季折々の自然や文化を、後世に残したい」という想いと、さまざまな階層の人々の歌が収められていることによる「豊かな文化と伝統の象徴」という考えがその理由とされています。

令和に決定した際の首相談話
「春の訪れを告げる梅の花のように、明日への希望と共に、一人ひとりが大きく花を咲かせられる日本でありたいとの願いを込めた」

今後の日本という国が、一人ひとりが希望を持てる、より良い国になってほしいという願いが受け取れます。


和歌の面白さは「余白」にある

和歌は『古代の人たちのカメラの役割を果たしていたのではないか』と私は考えています。

風景や思いを切り取る作業を通して、何かを伝える。
ここに、和歌と写真との共通点があります。

では違いは何か!?
写真は写実性に富んでいる写真に対し、和歌にあるのは『余白』です。

写しきれないその余白が、いくつもの解釈を与え、選ばせてくれるのです。そして、その解釈ごとに、見える景色が変わっていくことに面白みを感じます。

日本文学研究者のロバート・キャンベルさんがある対談でこのようなことをおっしゃっていました。
「その余白を相手に委ねるのではなく、委ねるからこその覚悟がある」

学生時代からの大切な趣味であったカメラにも、この和歌の余白の気づきが、大きく影響を与えてくれています。


貧窮問答歌と「傘がない」という歌

井上陽水さんの「傘がない」という歌を初めて聞いた時、私は万葉集にあった貧窮問答歌を思い出しました。

「なんか主張がものすごくストレートなんだけど、この世界観は何?」

この歌詞が、万葉集の和歌以上に余白を強烈に感じたのです。
しかし、一昨年まではこの余白の謎が解けませんでした。

そして、その謎解きをしてくれたのが、またもやロバート・キャンベルさんでした。何と、「傘がない」の歌詞を英訳していたのです。

これが実に興味深い。

実際に読んでみると、英語は主語があるからか、風景が立ってくるというか、歌の世界観が安定するといいますか、落ち着くんです。

そして、日本語の歌詞と英訳を行ったりきたりするうちに、言葉の余韻だったり、主語がないことからの余白が心地よく、自分の解釈になっていくのです。

和歌に関して言えば、五 七 五  七 七 の35文字で繰り広げられる世界観は、余白もたっぷりあるのです。

さらに、助詞一つ変えるだけで、全く見える世界が変わっていきます。

やはり日本語って、古典って、面白い。

ちなみに古典愛を語ると、つい熱くなりがちです。


令和は英語で?

英語のつづりは「R・E・I・W・A」です。

実は、発表された時に、イギリスの公共放送BBCが「令」の意味を秩序の「order」だと速報するなど、一部メディアが「令」が一般的に「order・秩序」や「command・指令」の意味で使われているなどと報じたとのこと。

それを受け、外務省は正しい理解をしてほしいと、「令和」に「beautiful harmony」美しい調和という意味が込められていると説明するよう、海外に駐在する大使に指示をだしたそうです。


「令和」の手話 つぼみ開いて花咲くように

新しく言葉ができれば、連動する言葉があります。

それが手話です。

令和の手話表現は、つぼみが開いて花が咲くように指先をゆっくりと開く動きをするそうです。

ゆっくりと指先を開く動きには、春先につぼみが開いて花が咲く様子、そしてその手を前に押し出す動きには「未来へ進んでいく」という意味が込められた表現とのこと。

梅の花の季節もそろそろですね。

桜はもう少し先でしょうか。

「beautiful harmony」調和を携えて「未来へ進んでいく」

再度、緊急事態宣言が発出され、心の疲れが溜まってきてしまいそうです。

こんな時だからこそ、未来への祈りや願いが込められた元号の「令和」に、思いを馳せてみたいと思います。


文化に触れることは、生活を丁寧にしてくれるなど、心の余裕に導いてくれます。私の提案するコンサルティングでは、セルフケアの一つとしてお伝えしています。

イメージコンサルティングのスキルを通して、あなたのWellbeingにつながりますように。







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