ミッシング ピース 2
初めて彼女とすれ違っとき、空気の流れが違うことを肌で感じた。
ちょっと鳥肌が立って
「なんだろうこの空気は・・・」
と戸惑った。
そんなことを毎日意識して生活なんかしていないし、気に止めてなんかもいない、空気の流れのことなんか・・・・
でも確かだった。
それを証拠に、何人かが足を止めて深く深呼吸をしていた。
それも口からからではなく鼻から。
そこに漂う空気を肺一杯に吸い込むように。
まだ霧が残る朝の森の中で深く深く深呼吸をするように。
多分10秒にも満たないほんの一瞬と言っていいほどの時間。
そしてみんなまた今に戻っていく。
「今までなんで感じなかったんだろう」
不思議だった。
彼女の存在は知っていた。時々見かけたし。でもこんなことを感じたことは今までなかったから。
それからその空気の流れに惹かれるように、私は彼女とすれ違う機会が増えていった。
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