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「ツレがうつになりまして」1家に1冊おすすめです

この本は今も私にとってバイブルであり道しるべになる本です。

ツレうつとの出会い

ツレうつとの最初の出会いは映画だった。
堺雅人さんと宮崎あおいさんが演じている。(今見るとお若い…!)

うつで休養中、のちの夫と少し遠出をしたとき車の中でそのDVDを観たのだ。夫が着くまでの時間つぶしにとレンタルしてくれていた。
暗い内容ならいやだなあとちょっと思いつつ再生した。

気づいたら…私は号泣していた。
夫は驚いていた。私も。

悲しくて泣いたのでも観ていてつらくなったのでもない。
「ああ…うつ病ってこういうものなんだ。わかるわかる…一緒だ。」

そう思ってホッとしたような嬉しいような気持ちになって泣いていた。

当時私はうつ病と診断され薬を飲んでいた。
自分のそれまでのつらい症状が病気のせいなのだ、病名がついたことにホッとした。
しかしまだうつ病というものをよくわかっていなかった
フワフワしたような、何が、どれがうつ病のせいなのだ?と漠然と思っていた。わからなかった。

それが初めて「共感」という感情に出会い正真正銘にホッとしたのだ。

原作本と出会う

後日本屋に行った時「ツレがうつになりまして」の本を見つけた。
あ…これ、この間の話の原作?!
思わず手に取った。

そして驚いた。
薄い…。
開いたら不思議と笑顔になった。
漫画だ!!

こういう本はてっきり文章ばかりの分厚めの本だと思っていた。迷わずレジに行った。

本の出会いまでが長くなった。でも欠かせなかった。

ここからようやく中の感想文にうつります。


登場人物は映画とほぼ同じ。
主人公はてんさんと(映画は違う名前だったかな)
うつになるツレさん(旦那さん)。
真面目なサラリーマンだったツレさんはある日会社に行けなくなり、うつ病と診断される。そのツレさんと突如家族がうつ病になったてんさんの話だ。
初めてのうつ病という病気に、ツレさん本人だけでなくてんさんも戸惑いながら、さぐりさぐり失敗もしながら生活していく様が描かれている。

とても読みやすい

とにかく漫画が読みやすい!そもそも文章少なめで漫画になっていること自体ありがたい。うつ病になると活字を読むことが難しくなることが多いのだ。

そして漫画は本当に簡単な絵で描かれている。
失礼を承知で言うと(本当にすみません)誰でも描けそうな白黒のシンプルな絵。

でも、でも!この絵が本当に読みやすい!

これがリアルな人間の姿だったら、うつ病のときとても読めないと思う。絵も文章も本当に最低限という程シンプルになっている。
でも説明がしっかり書かれているところもあってメリハリがある。

これがとてもありがたいのだ。

てんさんの存在

中身を読むとてんさんがとてもひょうひょうとしていることに驚く。
性格の違いについて本の中でも触れられているが、それだけなのだろうか?

ツレさんがうつ病の症状に苦しみ寝込んだり、行動しようとしてうまくいかない…そんな姿を受け入れ、見守って、時に〇〇してみたら?くらいの軽いアドバイス。
もちろん失敗もして間違えた!これを言ってはだめだった!なんてこともある。そんなの当たり前なのだ。初めてなんだから。

そう。うつの話だけでなく家族愛の話でもある。

これを読んで私を含めほとんどの人は同じような感想を持つのではないだろうか。

「自分は家族がうつ病になったときこんな風にできるのだろうか」

ツレさんがうつ病になったのは初めてだが、彼女もうつ病の家族になることは初めてだ。

うつ病は誰でもなるものという認識は広がってきているが、どんな人でもなる可能性がある、ということはその家族になる可能性も誰でもあるということだ。

でも世の中にはうつ病当事者にならないための生き方や気をつけ方の情報はあふれているけれど、家族の存在はどうだろうか。どうしたらいいのかわかるのだろうか。

うつ病の本も当事者やその専門の人が書いた本は多い。でも家族目線のものは少ない気がする。少なくともこの本に出会った数年前はそうだった。

この本を読むべき人

私がおすすめしたいのはうつ病当事者はもちろんだが、この本を「家族に読んでもらうこと」だ。

この本はうつ病当事者はもちろん、その家族にとっても道しるべになるものだ。2人の経験がたくさんのことを教えてくれる。

私の経験だが、うつ病を理解してもらうことは身内でさえ難しい。職場の人なんてもっと遠い。

そもそも自分でも完全に理解していないものであると同時に、その説明をする気力がない。

そしてどこかで「これはうつ病の症状なのか?ただ自分が怠けているだけなのでは?」と思っている。自分でもわからないのだ。
「いつも寝てばかりいる」と家族が思っていても仕方がない。

でも知らないことが大きいのだ。

「これはうつ病の症状です」と書いてある本があるだけで違う。特に昔の人ほどテレビや本に書かれていることを信じやすいと思う。本人がいくらこれはうつ病で…と必死に説明するより、芸能人がテレビで言ってくれた方が納得したりする。

もし本をせっかく読んでもらうなら漫画だと読みやすい。薄さもありがたい。文章ばかりの分厚い本で「これで理解して」と言って読んでくれることなんて、まあないと思う。

この本を買ったのは5年以上前だ。でも私は定期的にこの本を読む。
続編も出ていてそれも読んだ。
ツレさんのうつ病がよくなっていき、でも油断しないようにしながら前向きに生活している姿に勇気をもらえる。

そして家族に感謝の気持ちを改めて持つことを気づかせてくれる。

この本はうつ病当事者だけでなく家族にとってもバイブルになる。そんな本である。

1家に1冊、おすすめである。

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