アインシュタイン日記 -想像力を訓練する軌跡-
時間がない。
僕には時間がない。
僕はなんでも好きだ。パソコンとにらめっこすることだって、苦手だけど人と話すことだって、歩くのだって好きだ。
絵も音楽も演劇もサイエンスもビジネスもなんでも面白いなあと思う、天からさずかりし天邪鬼さはいつも僕を困らせてくる。
ただ、人の人生には限りがあるんだ。体にも物理的限界がある。文章を書きながら、詩を作って、音楽も楽しみ、絵を書いて、大学院で仕事をするっていう千手観音クローン的な所業は絶対にできない。
時々、手が100本あるんじゃないですかとかクローン4体でまわしてますかと思うような、どうしてそんなたくさんのことをできるのと言う人がいる。みなさんはどうかわからないが、残念ながら僕には手が2本しかない。指も10本しかない。足を含めると20本だけど、いつも体重をささえてくれる勤労の足にお願いするのは忍びない。
けど全部やりたいんだ。毎日、面白いものに囲まれて生きていきたいんだ。
日に日にこんな変なことを考えていると、やっぱりセレンディピティが降りてくる。神様は苦労している人間を見捨てないんだなあとありがたく思う。
なんだ、あるじゃないか、
鉛筆がなくたって絵を書く方法だって、
手を生やす方法だって、
音楽をしながらデザインする方法だって、
あるじゃないか。
一時帰国中の田舎の辺境のカフェの片隅で、
こうした狂気に満ちた大学院生の末路が、
全部頭の中でやる
ということ。
頭の中でやれば、誰にも見られることがなく、手を無限に増やし、材料も秒で調達して、好き放題どんちゃん歌いながら、なんでも作れる。自分が思うサグラダファミリアだって、モナリザだって、カラマーゾフだって。
そしてテクノロジーの進化論からみてもこれは魅力的。だって、狂気に満ちた頭の中を、AIが再現できる見込みはしばらくはない。そもそも訓練するためのデータが不足している。AI vs 人間の戦争の最後の砦というやつだ。
ということで、いろいろと調べると、やっぱりみんな悩みは同じで25年もかけてやり方を考えた人がいたのだ。
それが
ウィル・ウェンガーパイセンだ。
彼の著書は、
アインシュタインファクター、天才たちの思考法。
これだ!と思いながら、僕は凡人中の凡人なので、天才とアインシュタインというパワーワードの双刀に切り刻まれそうになる。いや実際に切り刻まれた。どれくらい僕が凡人かと言うと、人の3倍ぐらい飲み込みが悪い。メンタルは国産の大豆から作られた豆腐でできている。そんなわけで、めそめそとくじけそうになる。それでもめげないで、Amazon Primeで頼み読んでみた。
この本を簡単に一言で言うと、
頭の中に思い浮かんだイメージをひたすら口に出して詳細に描写するだけ。
というもの。
例えば、
赤い変な形をしたりんごが浮かべば、
「今、りんごが見えます。とっても赤い。カズレーザーぐらい赤いです。大きさは、バスケットボールぐらいで、、、、形は歪んでいて、へちまみたいになってます。」
という感じの独り言を永遠と続けるというトレーニングだ。
続いて、いろいろ調べてみると、このメソッドの評価は出てくるものの、何ができるようになって、どんな変化が起きたのかというユーザーの時系列的なデータが出てこない。正直いって、こんなに簡単に天才になれるのだったら人間苦労しないんだ、うぅぅぅぅ、、、とちょっとダークな気持ちになる。けど、ふと目に入った窓から見える夕日が、とりあえずデータがなさそうだから一応検証ししてみようかしらという気持ちをどこからか湧き上がらせた。
ということで、自分をモルモットにして、ひたすら自分の頭の中と会話するという、同居人からすると精神科に放り込みたくなる人体実験を、とりあえず一年間続けてみることにした。
この長距離マラソンの中で起きたこと、何も起きなかったことを日記形式にして書いていくことにしよう。noteで書くことがないときは、これについての進捗報告としよう。手が足りないと悩む、いつかどこかの誰かのために役立つはずだ。
目標はアインシュタイン Made in Japanだ。
名付けてそう、アインシュ太郎。
そういえば、僕が中学校の頃にオーラが見える女の子がいた。とても美人で清廉で知的で、「あなたのオーラは水色よ」てよく言われたことを思い出す。その子は共感性が高いらしく人が色で見えるらしい。
かっこいい。素敵だ。あなたのオーラは「黄緑色です、優愛の星の元に生まれてきているのです、これからはあなたの優しさを周りに分け与えて生きていきなさい」とか人生で一度は言ってみたい。
たぶん、頭の中でごちゃごちゃできれば、そんな能力も身につくんじゃないかという薄水色の淡い期待をいただいている。そういう期待がなければこの実験は続かなそうだ。
とりあえずベッドに入って目を瞑って集中しイメージを言葉にしていく。
そして目を開けた時、世界は一変した。
朝を迎えてしまった。どうやらスリープモードに入ったらしい。これは長い旅路になりそうだ。
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