貝に続く場所にてを読みました
芥川賞を受賞してからすぐにドイツ関連の書籍だと知って、購入しました。
ドイツが題材になっている作品は思っているよりも少ないので嬉しかったのです✨
ゆっくり大事に読もう!と思い、結構な時間がかかってしまいました…半年以上かかってます。
東日本大震災についてもメインテーマとなっており、なかなか不思議なコラボレーションで独特な世界観となっていました。
読了後は、灰色のもやに包まれたような感覚が強く、物悲しくてメランコリックな気持ちになりました。
なんだか釈然としないというか、それが持ち味の小説なのかなと解釈しました。
すっきり分かりやすくてハッピーエンドというよりも、そのもやもやを持ちながら共存していくような、美しい詩を読んでいるような感覚でした。
ドイツ人との交流も描かれてはいたものの、あまり具体的ではなくて、薄いというか表面的な感じがしました。
はっきり言うと人物像が想像しずらかったです。
解釈が難解で、でも文章や言葉は美しくて。
物語を読んでいるというよりも、詩を読んでいる感じでした。
散歩をして過去を巡るシーンがありましたが、
ドイツの秋から冬にかけて、いつも曇っていて暗くなっていく空を安易に想像出来ました。
夏は明るくて天気がいい日が続くのですが、
秋から冬は曇りや雨が多く、太陽が出ない日が多いのです。
そんな曇ったような感覚が続いていく物語のように感じました。
冷たくて澄んだ空気、草や葉を踏みながら歩く散歩道を安易に想像出来る文章は素晴らしく、ドイツに住んでらっしゃるからこそ出来る表現だろうなぁと思いました。
ゲッティンゲンが舞台となっていましたが、
行ったことがない方でも想像しやすくて、
登場人物と共に散歩して出かける感覚を味わえるのでおすすめです。
秋から冬にかけてのドイツの景色を思い出してとても懐かしくなり、あの独特な哀愁が漂うところも大好きだなと思います。
少し難解な作品なので、難しい物語に挑戦したい方にはおすすめです!
震災のテーマもありますが、包み込んでくれるような優しい内容だと解釈しました。
一方で震災に関する内容なのでテーマになった時点でしんどくなってしまう方は、メンタルと相談して読んだ方がいいかもしれません。
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