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ブランドが、ブランドであり続けるために。

※この物語はノンフィクションでお送りします。ブランド開発事業などに関わる方の心には、少しばかりの何かが届けられるかもしれません。


「良いブランド」ってなんだ?

「ブランドにとって良い状態」ってなんだ?


「ブランド」を作ったことがある、もしくは作ろうとしたことがある方は、一度は考えたことがある……というか、目の前に立ちはだかる壁として登場してきたことのある疑問なのではないかと思う。


例に漏れず、私もそのひとりだ。


壁どころか真っ暗なトンネルに入った私が、いつしか出口から差し込む煌々とした光を見つけるまでのエピソードを、ありのまま綴ってみる。

もし今トンネルの中で出口が見えなくてしんどい思いを持った人がいたのなら…届いてくれるといいな。君のわかんないところで。

申し遅れましたが、タカミと申します。テテマーチ株式会社というSNSマーケティング支援事業をメイン事業としている広告代理店で、ブランドプロデュース事業に日々勤しんでおります。


迷える私と、迷わぬ上司。

とある日、業務中の一コマのことだった。

弊社でブランドプロデュース事業を始めてからはまだ間もないこともあるが、私自身はまだ「良いブランド」の定義を自分の中で言語化しきれていない中で、もがく日々だった。

そんな折、弊社にお問い合わせいただいたコスメブランドを運営するクライアントさんのブランドグロースのお手伝いのご相談をいただいた。

どうやらそのクライアントさんは、これからブランドを成長させるためにできることがいっぱいあるのはわかってるが、どこから手をつけるべきか迷っている状況だった。

新規ユーザーに目を向ける?既存ユーザーに目を向ける?それぞれに向けてできることって何がある?というような状況。

この時の私は、まず、ブランドが良いと思ってもらうためには?を考えていた。

〜脳内〜

(そもそも、今このブランドは良い状態なのか?良くない状態なのか?)

(ん?良いか良くないかは誰が決めるんだ?)

(てか、良いってなんだ?良いブランド、良い状態ってなんだ?)

(パニックのドン底)


そんな迷える私に、迷わぬ上司が問いかける。

「タカミはさ、ブランドがどうしてくれたら嬉しい?」


あ…そっち…!?

シンプルだけど何より大事な思考だと思った。

ブランドを作る人が、自分自身が必要ないと思うものを熱量持って作ることなんてほとんどないはずだ。

つまり、ブランドを作る側の自分たちがアイテムやサービスに対して価値を感じているべきだし、1番のファンでいるべきだと思うので、確かにファンとして「どうしてくれたら嬉しいか?」を考えるのが"ブランドの良い状態"を見つけるには近道かもしれない。


クライアントさんとのお話の中で「今、ファンの方にはブランドがどう思われていると思いますか?」という質問を上司がクライアントの担当者さんへ聞いた。

クライアントの担当者さんは「正直まだそんなにわからないです。」と答えてくださった。

これは良い悪いの話ではなく、"ファンのことを知っているか"で、何からやっていくのが良いのか?がある程度見えてくるので必要な情報だったのだと思う。


つまり、

ブランドが良いと思ってもらうためには?

の前に、

ブランドを良いと思うのは誰なのか?
良いと思われるのはどのような状態なのか?

を知るべきだと思った。

そのブランドが相手に対してどうしたいのか?
その相手はブランドにどうしてほしいのか?

そうか。知るんだ。相手を知るんだ。


そもそも「ブランド」って何?

前章で私の中に浮上した問い。

ブランドを良いと思うのは誰なのか?
良いと思われるのはどのような状態なのか?

これを考えるにあたって、そもそも「ブランド」とは何か?から、もう一度考えてみた。

「ブランド」は、作ったものが売れたら良いのか?たくさんの人に名前を知られたら良いのか?

上記も結果としては良いことかもしれないが、きっと「ブランド」っていうものは、その結果を生む前に「ブランド」である必要があるよな…と思ったタカミはその謎を解明すべくアマゾンの奥地へ向かった。


様々な人の「ブランド」の定義を参考にしたり、自らの経験を重ねていく中で見つけた私なりの「ブランド」の定義は、

『時間やお金を投資しても良いと思える対象やその思想の表れ。』

という状態を示す表現の一つだと思った。


では、時間やお金を投資しても良いと思うほどの信頼を抱いているのは誰?


「ファン」だ。


ファンがいる状態が、ブランドにとって良い状態…
というよりは必要不可欠な状態だと思った。
ファンがいないと「ブランド」という思想の表現がそもそもで成り立たない気さえする。


ファンがいる状態というのは、ブランドにとって良い状態だと言える。もっと言うと、それが続くことがブランドにとって良い状態だと言える。

では、その状態が続くためには、ファンがどうなっていると良いのか?

この時、私の脳内を占拠したのは「期待」の2文字。

時間やお金を投資しても良いと思える=期待をしている のだと思う。

そうやってファンに「期待」をされることで、「ブランド」はどんどん「ブランド」になっていくのだと思う。


あなたの「期待」はどこから?

ファンに期待されている状態がブランドにとって良いということはわかったのだが、ファンの「期待」を生み出すのはどうやって?

まず自分が「期待」をする時のことを思い浮かべた。
(もちろん言うまでもなくLiSAちゃんとの思い出を振り返ry)

感動、驚き、嬉しさ、楽しさ、など心が動く体験があった時と同時に期待するような気がする。

そして、それを受け取る時は大抵、「愛されているなぁ」とか「想われているなぁ」と感じることが多い。私たちの喜ぶことを知ってくれているなぁって。

…知って…くれて…いる!?!?!

あ、そうか…知ってもらえているってあんなに嬉しい気持ちになるんだったな。
しかも、きっと私たちを喜ばせたいと思って考えてくれていたことが何にも代え難いほど嬉しいんだったな。

LiSAちゃんに多大な期待を寄せるLiSAッ子とLiSAちゃんが、どういう関係性なのかを考えた時に浮かんだ言葉は、


「相思相愛」


これしか勝たん。(ここで相思相愛/Official髭男dismが流れる)


さて、相思相愛ってどういう状態か?

互いに慕い合い、愛し合うこと。

愛し合うって言うと少し濃いめだけど、結局は信頼や期待をする手前に少なからず「好意」があると思っていて、それがどんどん深く、強くなっていくと「愛」になることもあるし、「愛」まではいかずとも、少なからず時間や対価を払ってでも良いと"想っている"状態があるはず。

もっとシンプルに考えると、好きな人のこと想う時ってその人のこと知りたいし、その人が喜ぶことしたくなる。それは、ブランドでもアーティストでも会社でも同じなのかもしれない。

ブランドからファンへ。ファンからブランドへ。

好きだから想う。好きだから喜ばせたい。

で、相手の喜ぶことをするためには相手を知る必要があるのだなぁと改めて思った。

ここで最初の問いへの「解」が一つ出た。

ブランドを良いと思うのは誰なのか? → ファン
良いと思われるのはどのような状態なのか? → 期待されている状態
ブランドが期待されるためには? → 想い合う信頼関係を築く


その「解」に導くきっかけをくれたクライアントさんには、「ファンと相思相愛な関係性を築くことを目指して、まずはファンを知る施策を優先的に始めてみませんか」というご提案に着地した。

(もちろん、企画に落とし込む際にはそのブランドなりのコアコンセプトを整理し、定義します。)


トンネルの向こうは、愛のかたまりでした。

教えたいもの 見せたいもの たくさんありすぎるのよ。

ブランドがブランドであり続けるためには、

・「ファン」の存在がいること
・ファンの「期待」があること
・「相思相愛」な状態であること

が必要だと思ったところで、トンネルの出口が見えたのだ。


ファンと相思相愛で、いつもファンから期待されているブランドって良いなぁって思うもんね。


「これからブランドをどうしていこう…」とか、「うちのブランドって良い状態なのかなぁ…」と迷ったら、ファンとの関係はどうか?期待されているか?を一度振り返ってみるのも、いいかもしれないです。


私自身もまだまだこれから、いろんな考え方に出会って、いろんな感情に触れて、私の中の「ブランド」の定義も少しずつ変わったり、増えたりするかもしれない。

ただ、今はこの記事に綴ってきたような、私なりの考えや思いを持ってブランド作りに向き合っていきたいと思っている。

そのブランドを好きな人たちのためにも、その先で「好き」と出会ってくれる人たちのためにも。


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