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Fairtrade Fortnight: 隠されたチョコレートサロンの秘密

ロンドンにある、新聞やお菓子を販売する小さなお店に何やら行列が。

一見何の変哲も無いこのお店ですが、なんだか甘い香りがします。
お菓子が並ぶ棚には、「Discover the story behind the bar(板チョコの裏にあるストーリーをのぞいてみよう)」というメッセージが。

ボタンを押すと、壁が回りだし...
たちまち、目の前に秘密のホットチョコレート・サロンが現れました!

実は、ここはフェアトレード財団が「Fairtrade Fortnight(フェアトレードの2週間)」にあわせて期間限定でオープンしているお店。

フェアトレードとは、直訳すると「公平・公正な貿易」。
開発途上国の原料や製品を格安で取引するのではなく、適正な価格で継続的に購入することによって、生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。(参照:フェアトレード ジャパン)

フェアトレード認証された商品には、こんなマークがついています。見たことがある人も多いはず?

「フェアトレード・フォートナイト」は、毎年イギリスの個人や企業・団体が、フェアトレードに対する関心を高めるために活動する2週間。
今年はチョコレートの原料となるカカオ豆を育てる女性農家たちにフォーカスを当てて、楽しみながら現状について知ってもらおう!ということでフェアトレードのホットチョコレート・サロンがオープンしたのでした。

(*フェアトレード・フォートナイトの詳細はこちら(英語)から)

というわけで、メニューはフェアトレードのチョコレートを使用した3種類のホットチョコレート。異なるシェフが考案したレシピをもとに作られていて、3人のカカオ農家の女性の名前がつけられています。

私は、The Leocadieをチョイス。(メニューの下の写真の女性がLeocadieさん)
フェアトレードのダークチョコレートとココアにココナッツミルクと塩をひとつまみ加えた、ヴィーガンのホットチョコレートは、濃厚でとっても美味しい。

メニューには「1.86ポンド(≒275円)」という価格が書かれていますが、支払いはドネーション制のため、これはあくまで推奨の金額。

1.86ポンドは、カカオ農家の女性が子どもを学校に通わせたり、体調を崩した時に医者にかかったり、家族で十分な食事を食べたりするために必要な1日の賃金。1日で300円以下なんて安いように聞こえるけれど、現状は74ペンス(≒110円)しか得ることができていないそうです。

今回のホットチョコレート・サロンの売り上げは、そんな農家たちのサポートをはじめとするフェアトレード財団の活動費に充てられるとのこと。
相席していた女性は、10ポンドお支払いに。学校の先生で、生徒たちに楽しみながらフェアトレードについて学ぶ授業を行ったりもしているんだそうです。私も少し多めに払って、チョコレートの香りに包まれた空間を後にしました。

(↑行列の待ち時間に試食させてもらったレモン入りのダークチョコも、もちろんフェアトレード)

現代の都市では商品の選択肢がたくさんあるから、つい安いものを選んでしまいがちかもしれません。でも、その安さの裏には何が隠されているんだろう?そのしわ寄せはどこに行くんだろう?そんなことを考えながら日々の買い物をできるといいですよね。

日本ではフェアトレードの認知度はイギリスと比べて低いし、認証商品の数も少ないような気がするので(ロンドンはフェアトレード・タウンに認定されていて、街をあげて推進しているからかも)、そもそも選択肢にないことも多いかもしれませんが... モノの裏にあるストーリーを想像して買い物をするというのは、フェアトレードに限ったことではないと思います。

もちろん私も学生という身で、自由に使えるお金は限られていますが... いらないものやエシカルでないものに浪費するのではなく、少々値が張っても他者や環境にとって良いものを選ぶようにしています。

しかも、モノのストーリーを知った方が、たいてい自分の生活も楽しくなります!「これは〇〇さんが手間暇かけて育てた野菜だ!」とか、「これを選ぶことで、生産者の生活がちょっと良くなるのか!」とか。

消費社会に生きる私たちだからこそ、日々の消費に意識を向けてみませんか?



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