見出し画像

「45年間の自分をぶち壊している」有限会社ジェラード代表、後藤洋平さんへインタビュー。

JR恵比寿駅 西口 徒歩5分。坂の途中にあり、金網が張られた外観「JELADO FLAGSHIP STORE」。
大阪・本町の店舗は、3月13日にリニューアルオープンしたばかり。

後藤さんには以前、JELADO公式Youtubeの撮影で貴重な経験をさせていただき、その後も大変お世話になっています。

インタビューを通じて初めて、ゆっくりとお話を聴く機会をいただきました。
「好きなことを仕事に」を体現している後藤さんの言葉は、心温まることも、ズキッと刺さることもあり、まだまだ聞きたいと思うような時間でした。


▼後藤さんプロフィール

後藤 洋平(ごとう ようへい)
・2005年 JELADOをスタート
・J NET WORK(プロキックボクシング団体)10年キャリア

ーこんな時代だから、自分が赴く場所へ人へ時間へ。
 現在こっそりと現役復帰を画策中。

今回、恵比寿の店舗へおじゃまし、合間合間に接客される様子もお目にかかれましたが、あたたかい心の距離感で会話している姿が印象的でした。

ー近年のアパレル業界で、変わったことは?

今までの店舗は、見栄えがかっこいい店だったり、歩いていて目に付くものだったけれど、現在は違う。

買い物も、検索してからでないと買わない世の中になったと思います。
ブランドを選ぶ前にJELADOというものを調べて、興味があれば店舗へ行く、ネットで買う、という風に。

だから、路面店というこだわりは必要なくなったのかな。
僕たちの知っている時代とは大きく変わりましたね。
いろんなルールが変わって「店舗」という在り方が変わったと思います。

そんな中で、唯一変わらなかったのが恵比寿の店舗。

実は最初から、多くの人が来るようなお店作りはしていないんです。
知っている人がひっそりと来てくれるような場所。
時代が変わっても、このスタイルが一番続いています。

画像1

ー3月13日にリニューアルオープンのJELADO westについて。

ーコロナ禍での再スタートは、勇気がいると思うのですが・・・

恵比寿の店舗のように、自分のちょうどいいスタイルにしようと思ってね。

事業再構築補助金という制度があって、僕たちのやろうとしている方向性に最もハマっていたから、絶対に申請が通ると確信しました。

勇気がいるというよりも、内装をがんばってくれた人たちに申し訳ない気持ちが大きかった。
なので、旧店舗をきれいに解体し、新店舗に再利用しています。
今まで通ってくれたお客さんにも馴染みがあるようにね。

恵比寿の店舗でもスタッフの入れ替わりがあったし、一つの形が終わって新しい形になった感覚です。

ー経営を前進させるために、大事なことは?

自分が前向きになること。
いくらでも後ろ向きになる理由は作れるけれど、それじゃ何も変わらない。

いかに前向きに希望を持って進むかで、よい形をイメージすることが大事だと思います。

僕もスタートこそ苦しかったけれど、現に生きているからうまくいっているんだろうね。
ダメならダメで「会社がつぶれてもう終わり!」という瞬間までは前向きでいるつもり。

ーダメだ!となるまで前向きでいるには?

2年前、どこまで落ちても前を向けるかを設定しました。

人は、起きないと思っていることが起きると、どれだけ小さくてもすごい不幸に感じるじゃないですか。
だから「最も最悪なことを考え、それだけ起きなければマイナスではないから全部プラス」という考え方でやっています。(笑)

ーあれは苦しかったという思い出は?

いくらでもある。新しく始めたことは、上手くいった覚えがないよ。

前述したように、最初の2年は大変でした。
JELADOを始める前は古着屋に勤めていたけれど、いろいろとトラブルもあって。

「これは最悪だった。」というのはありすぎてわからない。
でも、そういうのを繰り返して図太くなったのかもしれないね。

画像2

ー人付き合いで、工夫されていることはありますか?

・承認欲求を求めない、満たさない!
・マウントをとらない、とられない!

というのが、今の自分を生きるためのテーマです。

「協力をしたら見返りを求める」「自分がやったことに対して評価してほしい」
そういうのを繰り返すほど、垢がついてくる気がして・・・。

僕もそうでした。
でも、人から見てもいらない感情だから、そういう部分をなくすことですごく楽になりました。

それに、期待しすぎるのはよくないですね。
お互いの正義を貫いてやっていくほど、だんだんと思いが合わないこともでてくる。
期待が外れてがっかりすることもあったけれど、それって一方的な期待だからね。

ー今の後藤さんを一言で表すと?

省エネモード。
携帯のバッテリー残量が減ると、スクリーンが暗くなり、メールも受信しない。
今はそんな感じ。

大事なことは守るけど、流れに任せてから考えても遅くないのかなと。
今まではその場で意見を言ってきたけれど、「あ、そうですね〜」と流れに任せています。

アンテナを立てすぎて、思い違いなことをしても仕方がないからね。

ーアメカジをお仕事にされたきっかけは?

高校時代は古着ブームが絶頂で、10代から夢だったことを仕事にしています。

当時は古着がファッションの主流で、ビンテージ品が求められていました。
今はヨーロッパ古着が輸入され、リサイクルや量産されるものが増え、僕たちが思っている古着とは変わったかな。

アメカジ=ファッション好きというより、マイナーな人が着るという時代になったと思います。
だから、アメカジ好きの人が求めている商品がJELADOにあれば嬉しい。

「未だにそういうのが好きなんだ」って感覚が心地いいからね。

画像3

商品が売れることも大切だけど、自分の好きなことに重きを置く。
そうすることで、経営スタイルも変わってきたのかなぁ・・・と思います。

ここから30年間お店を続けても、変わらない商品を作り、それを支持してくれるお客様がいるかを考えるようになりました。

ファッションって流行りが付きものだけど、デニムは商品のシルエットを変えずに、時代によって履き方やサイズ感を変えられる。
お客様が選んだサイズを好きにアレンジして、長年愛用していただけるような商品を作っていきたいです。

ースタッフの方々とも意志は揃ってくるものですか?

自分がギアを上げてやっていたら、周りがうすうす感じてくれてるような気がします。

結果が必要だけど、大概の感性がある人間だったらわかります。
言葉ではなく本気で行動に移せば、自然に揃ってくるのかもしれないね。

JELADOのスタッフは、僕がしゃべっていることを上手く拾ってくれますよ。
「あれ」と言ったら何のことかわかって、僕よりも先に理解するヤツもいます。

皆には感謝していますよ。

ー次の世代に伝えられることは?

好きなことをしなさい。

そこには責任が伴うことだけど、最初はわからないもの。
続けることで理解して、考え方や動きが変わってきますからね。

「好きなことは何か?」って、一番むずかしい問い。
なんとなく楽しいことを言う人もいれば、自分がしたいことを言う人もいる。

上手く言語化できないし、好きなことって意外と深いんです。

掘ってる最中は、長ったらしい言葉しかでてこない。
追求をすれば「ーーとは」が、スッと出てくるようになる。
僕もまだ、掘っている最中ですよ。

自分が本当にしたいことをしてください。

ー後藤さん、ありがとうございました!



「好きなことをしてください。」は、希望がある最高の言葉でもありますが、やるからには覚悟が必要だという厳しさもヒシヒシと伝わりました。

先月45歳のお誕生日を迎え、今までの自分を壊しているとのこと。
変わることを止めない姿勢を見習い、またご一緒できるのを楽しみにしています!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?