リグ リサカ

ふざけた魂です。

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記事一覧

暗い月

 とき・ところ――大正、港町の晩     ☆ ◯暗黒  白字でタイトル。  消えた傍から、黒い上に暗雲のようなものがたちこめてくる。 ◯酒場  片隅の机。  暗がり…

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やみ馬

 森の湖畔は、どうぶつたちの憩う広場です。  きりかぶのそばで、うさぎや鳥やりすや鹿が、やみ馬のうわさをしておりました。 「ずっとむかし、底なしの森へ入って、そ…

ティールームバトル利休 第一碗

※短編アニメーション用の企画の没となったプロトタイプ脚本です。無断で使用することを一応禁じます。  1 “時は桃山”  2 大坂の橋   立札に群がっている町人…

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狐とお稲荷さまについてのレポート

・狐の持つ玉は、その霊徳をあらわす ・食糧神・荒神であり、商売繁盛といった現世的利益の成就に特化している ・祠は家の外に置かなければならぬなど、祭祀には数々の…

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安楽死の家

 伐採され掘り返され、赤茶けた山肌を四つ踏み越えた頂にその小屋はあった。板切れを貼りあわせたような粗末な外観であるが、中はロビーのように広い。仕事場は土壁で仕切…

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まんが「死んだ娘が歌った……」

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暗い月

 とき・ところ――大正、港町の晩

    ☆

◯暗黒
 白字でタイトル。
 消えた傍から、黒い上に暗雲のようなものがたちこめてくる。

◯酒場
 片隅の机。
 暗がりがたばこのように烟る。
 画面奥の入り口に近い机は賑わっている。
 男女六人ほどの歓談。
 暗がり、烟っては消える。
男A「朔は引き籠もっているそうだね」
女A「富村の旦那がパトロンに附いてらっしゃるもの、泰平にしてるわ」
女B「

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やみ馬

 森の湖畔は、どうぶつたちの憩う広場です。

 きりかぶのそばで、うさぎや鳥やりすや鹿が、やみ馬のうわさをしておりました。

「ずっとむかし、底なしの森へ入って、そのまま帰ってこないんだよ」

「くらい森をずっとさまよっているんだって」

「おばけになっているよ」

「こわいねえ」

 だから、だれも底なしの森へは近づきません。

 みんな、やみ馬をおそれて震えます。

 そこへ、一頭の仔馬が、き

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ティールームバトル利休 第一碗

※短編アニメーション用の企画の没となったプロトタイプ脚本です。無断で使用することを一応禁じます。

 1 “時は桃山”

 2 大坂の橋
  立札に群がっている町人たち。
ぼん「(跳ね)何や何やー!どないしたんどないしたん?」
老人「茶道デスマッチの触書じゃ……」
ぼん「茶道デスマッチ?」
  立札から秀吉のホログラムが映写された。
秀吉『人民どもよ!わが政権は茶聖・千利休をクールジャパン事業のポ

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狐とお稲荷さまについてのレポート

・狐の持つ玉は、その霊徳をあらわす

・食糧神・荒神であり、商売繁盛といった現世的利益の成就に特化している

・祠は家の外に置かなければならぬなど、祭祀には数々の制約がある

・願いが叶えられた後、お礼参りに来ないと、祟る

・祭祀をやめるのが難しく、勝手にやめると無関係の人の命を奪うほど強烈に周囲に祟る

・祭祀を放棄してもいつの間にか戻って来て祭祀を強要することがある

・化け、幻

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安楽死の家

 伐採され掘り返され、赤茶けた山肌を四つ踏み越えた頂にその小屋はあった。板切れを貼りあわせたような粗末な外観であるが、中はロビーのように広い。仕事場は土壁で仕切られていて作業の様子は見えない。順番待ちの人々は土間に足をおろして煙草をぷうぷう吹かしたりしている。
 仕事場の様子を覗いてみると、大工のような職人がほんの二人程度。刀鍛冶のような趣もある。簡素な空間で、黒い砂壁には種々多様な器具が掛けられ

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