涙腺に来ることが感動の質と必ずしもイコールになっていない気がして、ちょっと不思議だ。 感動でまず思い出すのがオトナ帝国の階段シーンと鉄拳の振り子だ。 どちらも人がサビで力んでることで人を泣かすわけだが、そのシーンのみでは感動が機能せず、人が力む要因を次々と提示し、さあ力んでください!のフリがあって力んで人を泣かすわけである。 この場合、涙腺に来るのは7,8割方メッセージ要因ではなくフリとサビの小気味よさきっかけだとおもう。(涙腺に来るきっかけがそうだというだけで、もちろん
とき・ところ――大正、港町の晩 ☆ ◯暗黒 白字でタイトル。 消えた傍から、黒い上に暗雲のようなものがたちこめてくる。 ◯酒場 片隅の机。 暗がりがたばこのように烟る。 画面奥の入り口に近い机は賑わっている。 男女六人ほどの歓談。 暗がり、烟っては消える。 男A「朔は引き籠もっているそうだね」 女A「富村の旦那がパトロンに附いてらっしゃるもの、泰平にしてるわ」 女B「金屏風の裏で何してるのかしら。自力じゃ光りもしない癖して……」 はしゃいで笑っ
森の湖畔は、どうぶつたちの憩う広場です。 きりかぶのそばで、うさぎや鳥やりすや鹿が、やみ馬のうわさをしておりました。 「ずっとむかし、底なしの森へ入って、そのまま帰ってこないんだよ」 「くらい森をずっとさまよっているんだって」 「おばけになっているよ」 「こわいねえ」 だから、だれも底なしの森へは近づきません。 みんな、やみ馬をおそれて震えます。 そこへ、一頭の仔馬が、きりかぶのそばをとおり過ぎていきました。 どうぶつたちが噂します。 「あれは
※短編アニメーション用の企画の没となったプロトタイプ脚本です。無断で使用することを一応禁じます。 1 “時は桃山” 2 大坂の橋 立札に群がっている町人たち。 ぼん「(跳ね)何や何やー!どないしたんどないしたん?」 老人「茶道デスマッチの触書じゃ……」 ぼん「茶道デスマッチ?」 立札から秀吉のホログラムが映写された。 秀吉『人民どもよ!わが政権は茶聖・千利休をクールジャパン事業のポストに召抱え、わび茶の文化開発に勤しみ、これを限りなく完成へと近づけてきた!後も
・狐の持つ玉は、その霊徳をあらわす ・食糧神・荒神であり、商売繁盛といった現世的利益の成就に特化している ・祠は家の外に置かなければならぬなど、祭祀には数々の制約がある ・願いが叶えられた後、お礼参りに来ないと、祟る ・祭祀をやめるのが難しく、勝手にやめると無関係の人の命を奪うほど強烈に周囲に祟る ・祭祀を放棄してもいつの間にか戻って来て祭祀を強要することがある ・化け、幻術で人を騙す(狸と比較して、奸智という性質を持つ) ・化かされて、どこまでも
伐採され掘り返され、赤茶けた山肌を四つ踏み越えた頂にその小屋はあった。板切れを貼りあわせたような粗末な外観であるが、中はロビーのように広い。仕事場は土壁で仕切られていて作業の様子は見えない。順番待ちの人々は土間に足をおろして煙草をぷうぷう吹かしたりしている。 仕事場の様子を覗いてみると、大工のような職人がほんの二人程度。刀鍛冶のような趣もある。簡素な空間で、黒い砂壁には種々多様な器具が掛けられている。一抱えもある銃や、鞄入りのナイフセット、心臓抜き等、ありとあらゆるニーズ