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生物学に特化した短編小説とエッセイ / Bio Novels

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#DNA

ジョン・ドウDNA起訴;科学的実名の取り扱い

 かつて、実名は自分の生命の一部と考えられてきた。しかし、自身の身体の奥深くに、より決定…

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”すべての細胞が同じDNAを持つ”と書いた、かつてのぼくは嘘つきです

・嘘つきが挨拶しますこんにちは、パブロフのぼくです。最近記事を書くために「若い読者に贈る…

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D-Genes 9 【連載小説】

 コール。コール。コール。  いくらコールしても相手は電話に出ない。これが普段であれば気…

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D-Genes 8 【連載小説】

 最悪だ。俺は思った。  この状態を最悪と言わずしてなんというのだろう。  相手の動きの…

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D-Genes 7 【連載小説】

ヘテロ社の首根っこはアラカワ トウジという議員だった。 「厚労省の元官僚、58歳。古い世代…

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D-Genes 6 【短編小説】

俺たちはまず、自説があっているかの裏どりから行なっていった。 そしてヘテロ社につながる政…

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D-Genes 5 【短編小説】

「なるほど、それこそ、俺たちに罪を着せるってわけね。まてまて。俺たちが裁判とかでSTR配列のデータベースについて証言したらどうなる?そんなデータベースを大っぴらにしたら、例え俺たちだけのせいになっても、困るだろ。ヘテロ社はデータベースの存在も隠したいはずだろ?」 「いや。多分、『公然の秘密』にしたいんだろ」 「なんだそれ」 「要は、裁判では俺たちの罪と判定されたが、世の中の皆さんはヘテロ社にSTR配列のデータベースがあるって気がついてる。ヘテロ社にとってそんな状態が望ま

D-Genes 4 【短編小説】

「馬鹿なんじゃないの、マコト。どっかの政治家の、個人を同定するSTR配列を手に入れる?そん…

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D-Genes 3 【短編小説】

「カル……」 「何?」 「前から思ってたんだが、それはやめた方がいいんじゃないか?」 俺…

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D-Genes 2 【短編小説】

「ねえ、マコト」 「なんだ?」 「あのさ、蹴ってもいいか?」 「どういう意味だ?」…

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D-Genes 【短編小説】

ガチャガチャ。 キーボードを叩く音。 ガチャガチャ。 特段大きな音ではないのだけれど、や…

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ぼくの体を構成しているものは何だろう?

・カフェインとかニコチンとかですけど挨拶 こんにちはパブロフの犬です。 音楽やイラストの…

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ショート・ショート・コドン・コード【短編小説】

電話が鳴った。そのままでもよいのだが、鳴っている電話を放っておくのは不思議と罪悪感がある…

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茜色の教室と食中毒【短編小説】

「ちょっと、何してるの?」 日が傾いて、涼しい風が窓から入る。 教室の中は茜色で、つまり少しロマンチックとも言えなくはない。 夕暮れどきの教室。淡いブラスバンド部の音色。遠くから聞こえる運動部の掛け声。私はひとり帰路に着こうとして、スマホのメッセージに気が付く。そこにはクラスのきになる男の子から。「今日、放課後教室で待っててくれない?」。 すってき!! そんな妄想をしていると、ある珍妙な光景が目に入った。素敵な空間にやぼったい男の子がひとりで、机にむかって(そしてその机は