私の見た世界 - 2
氷解と咀嚼
池袋にあるセッションルームは、駅からすぐのところにありました。
初めて人と会うときは緊張するものですが、先生はなんだか密度の濃いオーラをまとっていて、やや圧倒されました。とにかく声に張りがあるし、修行僧のような厳格さが漂っているなぁ、というのが初対面の時の記憶です。
ふだんの私は、年齢や肩書などはあまり気にしないところがあり、会社でも社長に軽口をたたいたりするのですが、先生にはなんとなくそれが許されない雰囲気がありました(そう思いたかっただけかもしれませんが)。
まずはご挨拶をしてからのカウンセリング。
事前に書いてきてねと言われていたペーパーを渡すと、先生は表情を変えずにじーーーーっとそれを見つめます。そして、時おりマーカーでしゃっしゃっとラインを引いていきました。私はその間、手持ち無沙汰でぼーっと部屋の中を眺めるしかなかったのですが、マーカーのポイントはどこ?などと考えて内心はドキドキでした。
「ふむ」
先生はこう言うと、あらゆる角度から質問を切り出し、私がたどたどしく答える…というやりとりが何度か繰り返され(この日は残念ながら録音を取っていなかったので、何を話したのかほとんど覚えていないのですが)
確か、先生はこんな指摘をしてくれたと思うのですが、正確には違う表現だったかもしれません。でも、かなりハッとしました。
「こうやったら面白いと思われるかな」とか「これやったら反感買うだろうな」といった他人目線の考え方が私の中にすっかり染みついているのは確かで、それはコピーライターの職業柄、必要なことでした。
でも、それ以前の自分の人生を決めるときにも、どこかに他人から認められたいとか、すごいと思われたいといった物差しをあてがっていたような気がするし、そんな物差しを当たり前のように判断基準のひとつとして抱えこんでいたのも事実です。そして、思ったような反応が得られないと、うまくいかないと失望したり、腹を立てたりしていたのです。
あぁ、私の思い込みがすべて現実化してるってことか…
変な感覚ですが、深いところにそんな刷り込みがあることが分かり、妙にすっきりしてしまったのを覚えています。
前世見なくてもなんか解決したかも…とよぎったほどです ← ほんの一瞬ね。
録音がないのでこのカウンセリングすごさが全然うまく表現できていませんが、会ってから1時間、見事な手さばきで捌かれる魚のごとく、私はすっかり心の内を開かれていました。もうすでにかなりの手ごたえというか、違和感の正体が分かったのを感じていて、このカウンセリングはすごい!と何度も先生に伝えていたのを覚えています。
見ます、見ます!そのために来たんですから!
という心の声をぐっとこらえ、私は冷静かつ神妙な面持ちで「…はい」と答えました。
こうして、人生初の前世誘導へと進んでいきました。
すいません、引っ張りついでに…もうちょっと。
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