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自転車にも持ち主の心は宿るらしい

つい数日前の、在宅勤務日の昼休み。

近所のスーパーから帰ってくると、わたしの住まいの前に出張自転車修理屋さんの車が停まっていた。

なんてラッキー!!

というのも、ハンドルが動かなくなって1年以上も経つ自転車を所有しているから。何せハンドルが動かないもんだから、自転車屋さんに持っていくこともできずにいた。

KURE5-56を吹きかけたり、ピカピカに磨いて話しかけてみたり。あらゆる手は施したけど、ある日突然動かなくなったハンドルは、うんともすんとも言ってくれない。

いつしか心の重荷にすらなっていた。


「あのー、今見てもらうことはできますか。」

聞けば修理屋さんは修理を終えたところで、依頼主が部屋にお金を取りに行っているのを待っているとのことだった。だからすぐにでも、と。

ラッキーが重なる。


駐輪場に来ていただき状況を説明する。埃を被った愛車は隅に追いやられていた。ほら、見てください。びくともしないんです。わたしは動かそうとする。と、

あれ、アレレ。あららら……

あれほど頑なに動かなかったハンドルが、右にも左にもきれる!嘘でしょ?だってつい前日にも動作確認をして、やっぱり動かない認定をしたばかりなのに!!

何もしていないのに、さも何事もなかったかのようにご機嫌な自転車。

「おじさん見たら元気になったんでしょうか。」

逆に申し訳なくなり、なんとか場を和ませようとするわたし。いやあ、まさかそんな。照れ笑う、修理屋さん。

とはいえ、1年以上も乗っていない自転車。それどころか実家から持ってきた唯一の大物で、かれこれ20年は愛用している。

だから点検をお願いした。油をさしてもらったり、チェーンの張り具合を調整してもらったり。気持ちよさそうだ。

かくして輝きを取り戻した、我が愛しの自転車。

主人の枷がはずれた。

あっ、もしかして、わたしの気持ちとリンクしてたの?








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