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アセクシャルの現状、今の恋愛と性愛システムへ問い掛け


まず、あなたに聞いてみたいことがある。

あなたは、今の恋愛や性愛について疑問を抱いたことがありますか?

こんな問いを投げかけてくる私は、今の恋愛や性愛について疑問を抱いている人間だ。かれこれもうどのくらい経っただろう。世の中の恋愛や性愛などに悩んでいた時に、私はアセクシャルという言葉に出逢った。そうして現在、アセクシャルとして私は生きている。

けど、アセクシャルという言葉にたどり着いたのはいいが、意味がややこしくなっており、何回読んでもわかりづらい。インターネットの記事やYouTubeなどネット記事から生まれた情報源を発見しては、その意味などに悩む。


実は、アセクシャルの情報はネット記事などが殆どであり、書籍は日本語に訳された英語圏のアセクシャルについての本が1冊あるくらい。少なくとも、私が確認している範囲ではその1冊(記事の最後に紹介してある書籍)しかない。

しかし、2020年8月現在。アセクシャルは言葉だけが世の中に浸透してしまい、肝心な情報源がインターネット上でバラバラになっていて、なかなか求めている情報にたどり着くことが難しい。これは、かなり深刻な問題だと私は感じている。願わくば、日本のアセクシャルについての本を出してほしいが、そんな話が出てきそうにないのも事実。LGBT関連の専門家でさえ、アセクシャルの考えがややこしいせいか、その構造を理解できてない人もいるくらい複雑なのだ。


そこで、私の脳内整理も兼ねて、私のしりこ個人で解釈したアセクシャルの知識と、アセクシャルの現状や未来について書こうと思う。あくまでも、私個人のアセクシャルに関しての脳内メモを公開記事にしたと思って読んでほしい。



アセクシャルの基礎知識


・アセクシャルってなに?

アセクシャルは性的指向のひとつ。他には、アセクシュアル、Aセクシュアル(呼び方:エイセクシュアル)、アセク、Aセクとも呼ばれている。アセクシャルは2020年現在、2つの意味が日本で知られている。

1.他者に性的惹かれない。(性愛のみ)

2.他者に恋愛感情も抱かない、他者に性的惹かれない。(性愛も恋愛も指す)


1の意味は英語圏コミュニティサイトからの輸入である。こちらのが世界的に主流であり、性愛のみを指す。2の意味は、日本独自の使い方。性愛と恋愛の両方を指す。



・なぜ、アセクシャルに2つの意味があるのか?

簡単に言うと、性愛と恋愛の差が非常に分かりづらいからである。性愛とは、言葉の通りセックスなどの性的行為を指すが、恋愛的な意味と混ぜて使っている人たちが多い。しかも、意味の違いを言葉にして説明しづらいのも、このような2つの意味になってしまった原因のひとつと言えるだろう。

本来の世界的主流の意味なら、性愛と恋愛を分けて使う。例えば、恋愛感情を抱かない・他者に性的惹かれないの場合は、アロマンティック(恋愛)アセクシャル(性愛)となる。

アセクシャルは英語圏コミュニティサイトにて広まり、日本でも2002年あたりで2ちゃんねるの掲示板(★1)にて話題に上がっている。また、asexual.jpなどの個人サイト(★2)も2002年ごろに開設されていた。少なくとも、日本のアセクシャルはインターネットの普及と密接に関わっており、インターネットの歴史(★3)とリンクするかのように言葉が広がっていく。

★1: 2002年当時の2ch過去ログ
 http://itest.5ch.net/love/test/read.cgi/gay/1012282846/

★2: 現存しているアセクシャルの個人サイト
asexual.jp  
https://www.asexual.jp/

★3: インターネットの普及と歴史についてはこちらを。
・総務省|令和元年版 情報通信白書|インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化 
 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111120.html

インターネットを経由して英語圏から日本へ言葉を輸入して少し経ってから、アセクシャルの定義について議論になっていた。そこから恋愛感情有無などで分かれていき、ノンセクシャルなどの言葉が生まれて現在にいたる。この記事を書いている2020年現在では、あくまでも私の主観だが、性愛のみ意味で使われているのが多いと思われる。しかし、各種メディアサイトでは性愛も恋愛も両方指す日本独自の意味で使われてしまうことがあり、「とりあえず、両方あるってことで」となっているのが現実である。

したがって、もし何かしらでアセクシャルについて触れるなら、「アセクシャルは2つの意味で使われているが、基本的には他者に性的惹かれないを指す。」が一番いいと思う。



アセクシャルの現状、そして未来


アセクシャルの概念は、世の中にある恋愛や性愛について問いを投げたものだと私は思っている。

今の社会は、既存の恋愛や性愛というシステムが崩壊する寸前に私には見える。一部の人たちが利用していた恋愛や性愛というシステムが、現代の社会で機能しなくなってきている。

しかし、機能してないのに今はそれしかないから仕方がなくシステム通りにするしかないのが、今の恋愛や性愛の現状なのだと思う。本当はもう壊れてもおかしくない。けど、ギリギリのところで動いている状態なのだと、少なくとも私は考えている。

私は今の恋愛や性愛のシステムに最後の問いを投げたのが、アセクシャルという存在なのではと感じている。アセクシャルは一見、既存の恋愛や性愛に嫌になった人たちに見えてしまう。けど、本当は既存の恋愛や性愛が既に壊れかけていて、それに気づいたのがアセクシャルという存在だったら、どうだろう。


本来なら、人によってどのように愛したいかひとりひとり違うもの。けど、今の恋愛や性愛はそれを不気味なほどに揃えられ、作られた規律の中でしか人を愛するのを認めてくれない。現に、選択別夫婦別姓や同性婚を認めないのもそのひとつであろう。社会によって都合のいい最も理想の愛し方を作ってしまった結果が、今の恋愛や性愛のシステムで抱えている問題でもある。本当はひとりひとり愛の形や色は違うのに無理矢理押し込めたのが、ここにきて壊れかけたのだろう。

友情や家族、趣味や仕事などよりも恋愛なんて、よく考えればおかしな話だ。好きな人間のランキングで一番なのが恋愛関係の人間ではないといけないのはおかしく、「私はそうじゃないのにな…」と思っている人たちも多いと思う。だけど、それを強く言うと何故かおかしな、異常な人間扱いをされることが多い。

やはり、どこで恋愛を一番にしなきゃいけないというものが社会に蔓延っているのだろう。だが、本当は恋愛というのが、人を愛するコミュニケーションのほんの一部の手段でしかなかったらどうだろうか。

もしそうだったら、世の中にある恋愛に対しての矛盾が消えていくような気がしてならない。今まで「あなた、変わった恋愛の価値観を持っているね。」と言われていたものが、そうじゃなくなる。既存のシステムでは異性から好意的な想いは恋愛とイコールで結ばれがちだが、恋愛はあくまでもひとつの愛し方なだけであって、人によって愛し方はさまざまであり、その好意的な想いは恋愛だけではない。そして、性愛も恋愛と同じく、人間への愛し方のひとつの方法だと私は考えている。

今ある恋愛も性愛も、人間への愛し方のひとつでしかなく、他にも恋愛や性愛以外にも人を愛する方法なんてたくさんあって、恋愛や性愛も人それぞれあるというのが、もし真実だとしたら。そしたら、既存の恋愛や性愛のシステムは、単なる愛し方のひとつを切り取っているだけでしかなくなる。



先程もしつこく書いたが、愛し方は人それぞれ。だからこそ、既存の恋愛や性愛は一部の人たちが作った理想の形でしかなく、それはもう壊れつつあるのだ。それに気づいたアセクシャルの人たち・そうじゃなくても気付いた人たちは、今後も増えていくだろう。きっと、気づく人たちが増えていくたびに今の恋愛や性愛のシステムは崩壊へ進むのだ。

私たちは、今ある既存の恋愛や性愛のシステムの矛盾に気づいただけだ。ただ、それだけ。けど、今の恋愛や性愛のシステムでは私たちは異常者扱いされ、隅っこに追いやられてしまう。そんな私たちに居場所を作るためにも、アセクシャルという言葉が存在している気がしてならない。でも、それもいつかは変わるだろう。だって、既存の恋愛や性愛のシステムがすでに崩壊しつつあるのだから。


だからこそ、私は今の恋愛や性愛に適応している人たちや、恋愛や性愛を素晴らしいと思っている人たちなどに対して無闇に争ったり敵視するのではなく、平和的に愛の問いを投げかけていきたい。争うよりは平和的なほうがずっといい。無闇に剥き出しの怒りや負の感情を相手に出して戦っても、かえって溝が生まれるだけだ。その行動は同時に差別が生まれてしまう危険性もあるため、出来れば平和的にしたい。そして、おそらく既存の恋愛や性愛のシステムの中にいる人たちにも、疑問を持ち始めている人たちがいる。そういう人たちとも、私は一緒に手を組んで共に既存のシステムに対して愛の問いを投げていきたいのだ。

さまざまな人たちと手を組んで、既存の恋愛や性愛ではない、さまざまな愛し方を平和的に提示していく。そうしたほうが、さまざまな愛し方がある事に人々が気づきやすい。愛の形は人の数ほどある、そう私は思って今日も愛の問いを投げて生きていく。



最後に

私が確認用で使っているアセクシャルのサイトや書籍などを一覧にして書いておこう。


・見えない性的指向アセクシュアルのすべて: 誰にも性的魅力を感じない私たちについて(書籍)

アセクシャルの人たちに受け入れられている、唯一のアセクシャルのための書籍。書かれた方はアメリカに住む作家さんであり、専門家ではないので堅苦しい言葉ではなく、読みやすい。しかし、英語圏独特の文化(プロムなど)を知ってないと少しわからない部分もあるので注意してほしい。


・レインボーライフ(ネット)

アセクシャルの記事が多めのサイト。幅広く、でもちょっと深く知りたい方におすすめ。LGBT系メディアでもここまであるのはなかなかない、と言えるくらい記事が多め。


・パレットトーク(ネット)

アセクシャルについて漫画や文章などでわかりやすく説明している媒体。簡単にさくっと知りたい方におすすめ。


・asexual.jp

日本で老舗のアセクシャルのサイト。今回、特に参考になった。アセクシャルの歴史を知ることができるサイト。

https://www.asexual.jp



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