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[小説]可哀想なチューリップ
チューリップが枯れていたので、わたしは、そのチューリップに言いました。
「枯れてしまって、可哀想。あなたは、可哀想なチューリップだね」
すると、チューリップは言いました。
「私は枯れているけれど、可哀想ではないですよ」
チューリップが強がっているので、わたしは慰めました。
「無理をしなくていいわ。本当は、枯れてしまってツラいんでしょう。チューリップさんの気持ち、わたしには、痛いほど分かる
[小説]坂の上の白い蛇
学校を出て、歩道橋を越え、降りたとこから三つ目の角を曲がり、そのまま歩いた半ばあたりの左てに、小さな脇道がある。その脇道は大通りから外れているものの、近道になっており利用する人は多い。
「でもナベちゃん。気をつけなくちゃね。あの道は、たまに坂道になるんだ」
とマッキーが言ったので、ナベちゃんは返事をした。
「まさか、マッキー。あそこは平らな道さ。」
「本当だよナベちゃん。」
「どういうこ
[小説]階段スライダー
「なあ、誰が下駄箱まで一番か競争しようぜ」
って小坂くんが言い出して
「いいよ」
「おっしゃ負けねぇぞ!」
と内藤とよっしーも乗り気になったから
ここは4階で、下駄箱までは遠くて正直めんどくさいなぁ、と思っていた俺だけど、お調子者の血が騒ぎ、
「よーい、スタート!」
と先陣を切って走り出しちゃったりして。
「あいつマジになってるぜ!」
みんなケラケラ笑いながら走っていたけど、階段へ