災厄としてのアナロジー~谷口裕貴『アナベル・アノマリー』書評~
谷口裕貴が帰ってきた。第2回日本SF新人賞作家による9年ぶり、単行本としては実に19年ぶりとなる新作である。本書は、2001年と03年に雑誌発表された短編2編に、設定の共通する2編を書き下ろした連作となっている。
本書の設定は次のようなものだ。サイキックを人為的に創り出すレンブラントプロジェクトによって誕生したアナベルという少女は、たとえば銅像を宝石に、都市をキノコにといったふうに物質を変容させる力を有していた。しかし誕生した時点からその力は本人を含む誰にも制御できずに大惨