決めようぜ、今年1番おもしれー映画をな【2023年公開映画ベスト5】
2023年映画総評
映画記事を書いている者として年末にやりたかったこの企画、どの記者さんもやっているありふれた企画かと思いますが、私も年間ベストをやらせてください。
私は今年映画館で66本(多分)の映画を観ました。
映画は週に1本と決めていたつもりなのですが、過去最高記録を更新です。66回見ているという事は映画泥棒のCMを66回見ているということ、よく考えればヤバい。その66本の中からベスト5を決めて紹介をさせて頂きます。
現在公開している映画はないかもしれませんが、サブスクや動画配信、レンタルビデオ屋でこれから出てくると思いますので参考にしてください。
まず、今年の映画の総評として個人的には洋画が良い作品が多かったかなと思います、もちろん邦画やアニメ映画などジャンルを問わず見ていて、いい作品も多かったですが、全作品個人的な基準を設けてランク付けをしていった結果高評価帯は洋画が多くなった印象です。
ちなみに前年のベスト5を参考までに述べると
1位 メタモルフォーゼの縁側
2位 ブレットトレイン
3位 MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
4位 モガディシュ 脱出までの14日間
5位 かがみの孤城
特別賞 スパイダーマンノーウェイホーム
ゴーストバスターズアフターライフ
……となっております。
それでは5位から1位を紹介していきます。
第5位
第5位は『ワイルドスピードファイヤーブースト』です。
大人気シリーズワイルドスピードシリーズの最新作であり、最終章第1部になっている本作品では主人公ドミニク率いるワイスピファミリーの前に最大の敵が立ちはだかり、危機を乗り切るためにかつての仲間たちが集結する『アベンジャーズインフィニティーウォー』のような集大成作です。
主人公であるドミニクを追い詰める敵はなんと10年以上前に公開した『ワイルドスピードメガマックス』で登場したボスの息子です。
ジェイソン・モモア演じるダンテという最恐のヴィランがあらゆる手を使って父の恨みを果たすためにドミニク達を追い詰めます。
ワイスピシリーズの中では断トツの絶望感を感じてとても手に汗握る展開が多いです。
そして、ドミニクはダンテの魔の手から家族を守るべくこれまで手を組んだ仲間だけでなく、かつての敵とも手を組んで戦うという少年漫画で言う超熱い展開、まさに最終章に相応しい最大のスケールが展開されます。
中学生の頃からワイスピシリーズにハマった私にとって「ま……まさかこんなに大きな戦いになるとは!!!」と大興奮、その興奮度たるや『アベンジャーズインフィニティ―ウォー』に匹敵しました……正直それ以上かもしれません。
それは何故かというと、ワイスピシリーズは世界中で大ヒットしているシリーズですが、その歴史の中で作品制作に影響するような様々な悪いニュースや噂があり、マーベルシリーズのようなスケールの大きさになると全く想定していなかったからです。
かつてワイスピシリーズはヴィン・ディーゼル演じるドミニクの他にブライアンというキャラがいてW主人公体制で話が進んでいたのですが、ブライアン演じるポール・ウォーカーが不慮の事故で亡くなったため一時はシリーズ停止になるんじゃないかという噂がファンの間で広がりました。
しかし、ドミニク演じるヴィン・ディーゼルがそれを否定、その後の作品では失ってしまった人の大きさを実感し、ポールを偲び、リスペクトもありながらドミニクが主人公体制でワイスピシリーズはまだまだ続いていくんだと誰もが納得するような作品になりました。しかし、また困難が訪れます。
それはヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンの対立です。(噂)
ハイウッドの一線で活躍しているドウェイン・ジョンソンはワイスピシリーズのルークというキャラで出演しており、段々と人気と知名度が上がったことでポールを失った穴を埋める新たなドミニクの相棒になるのではないかと思うくらいでした。
しかし、主役のヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンが不仲であるという噂が流れはじめます。
真相は分かりませんが、ここ近年のシリーズでは共演せず、何故かドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムでワイスピのスピンオフが製作されたこともあったので不仲説は濃厚だと思っていました。
しかし、これはネタバレになりますがファイヤーブーストのラストシーンでは本筋の物語から離れていたルークもダンテの標的に定められることで、2人の物語が交差して、次回作では再び共闘することが示唆されます。
ラストの展開には本当に驚きました、実はラストシーンでシリーズを見ていた人ならもう1個とんでもなく驚く展開があります。
話を戻すと恐らくヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンは不仲だったものの、というかもうそんなことはどうでもよく、ただワイスピシリーズを最高に盛り上げるために最高の展開を2人が用意してくれたという制作裏側が頭の中で妄想が展開され納得したからです。
スピンオフも、最終章に繋がる大事な物語だったと説明できるような辻褄の合いようで良かったです。
ワイスピシリーズの売りであるアクションやカーアクションも過去最高の出来で、2時間半が本当にあっという間です。
また、引くくらいハリウッドスターが出てくるのも魅力で、特にアメコミ映画に出演した役者さんが多い、アメコミ映画好きには絶対に堪らないと思います。
出演している役者とその役者がどんなアメコミキャラを演じているかご覧ください。
ヴィン・ディーゼル / グルート
(MARVEL ガーディアンズオブギャラクシー)
ジェイソン・モモア/アクアマン
(DCコミックス アクアマン)
ブリー・ラーソン/キャプテンマーベル
(MARVEL キャプテンマーベル)
ドウェイン・ジョンソン/ブラックアダム
(DCコミックス ブラックアダム)
ジョン・シナ/ピースメーカー
(DCコミックス スーサイドスクワッド ピースメーカー)
ガル・ガドット/ワンダーウーマン
(DCコミックス ワンダーウーマン ジャスティスリーグ)
もう実質DCコミックス&MARVELコラボ作品と言っても過言ではありません。次回作が待ち遠しいです。
最近Amazonprimeで見放題配信が始まったのでこの機会に是非。
第4位
第4位は『ウィ、シェフ!』です。
フランスで制作された映画です、大規模に公開された映画ではなく近くの映画館で公開された際も、最速の3週間で上映終了してしまった作品ですが侮るなかれ、めちゃくちゃ面白いです。
フランスのレストランで1流シェフとして働く主人公カティがオーナーと喧嘩したため、そのレストランを辞めることになり、自分だけのレストランを開店するための資金集めで移民の少年たちが暮らす支援施設の寮母兼料理長に転職する物語です。
最初はお金を貯めるために少年達に料理を提供するくらいの気持ちでしたが、少年達と同居していく中で交流が生まれます。
少年達は安全のために戦火になっている母国からフランスに逃れ、自立支援施設で暮らしていますが、成年になる前に職を見つけ独り立ちしなければいけません。しかし、技術がないために職につけなかったり、その結果非行に走ったりいつの間にか在留資格を失い強制送還されるケースがあります。そんな現実を知ったカティは、支援施設を出ても自立できるように料理の技術を教えます。
師弟関係になることで改めてカティ自身も料理の力を知り、彼女自身も少年達に教えられて成長する作品です。
カティが来るまでの施設では冷凍食品やシリアルしか出されず、少年達は食べる料理なんてなんでもいいと食に興味がありませんでした。
しかし、カティは1流シェフとして、料理を愛する者として、若い人たちにはちゃんとした物を食べさせたいと国から支給される安い食費をなんとかやりくりしながら本場のフランス料理を作ることで、少年達を感動させます。
料理を教えるシーン、私は料理について詳しくないですが、ものすごく忠実だと思っていて、流石フランス映画だな~と出てくる料理すべてが美味しそうで心の中で指を咥えて観ていました。
料理の脇を添えるエシャロット1つの切り方にもこだわるカティの熱意が少年達に伝わっていく様子など描かれていて、フランス料理の芸術性の高さが理解できます。
それだけでなく、食事マナーや給仕のサービス精神を教え、素行が悪かった移民達が少しずつ精神的にも逞しくなっていく過程が丁寧に描かれていて少年達のサクセスストーリーを応援したくなります。
コメディで、ハートフルな作品ではありますが、オチにはクライム作品や、ミステリー作品のようなとんでもない仕掛けが用意されています。
どんでん返し物が好きな私にとってはドストライクだった作品。
ちなみに悪い意味でのどんでん返しではなく、あまりにハッピーエンドな気持のいい終わり方。
今年の「あんまり期待していなかったけど、観たらめちゃくちゃ面白かった映画部門」ではぶっちぎりの1位です。
個人的にこの映画で好きなシーンは、移民たちが料理を教わっていく中で「母国の料理をいつか作りたい」とカティに母国の料理を紹介したり、家族と暮らしていた時の思い出を語るシーンが素敵で、まるで料理は魔法みたいだなと思ったのと、料理の素晴らしさは国境を超えるということを実感しました。
第3位
第3位は『after sun』です。
以前記事に書いたのでそちらをご覧いただきたいですが、今思い返してもこれまでの映画体験では味わったことのない気持ちと余韻が襲ってくる、ものすごい映画です。
2024年にはディスク化されるみたいなので是非私もまた見ておきたい作品。
第2位
第2位は『正欲』です。
小説家である朝井リョウさんの作品を映像化した本作、映画化が決定してから小説を読みましたが夢中で一気読みをしてしまうくらい面白くて、公開が待ち遠しかったです。
『正欲』は人が抱く、正しくなりたい欲を描いた作品。
考えもつかないような性癖を持っているために自分を異常者と思い人と距離を取ってしまったり、エリートコースを進み家庭を持ったけど不登校の息子がYouTuberになりたいと言ってきて頭を悩ませたり、男性が苦手だけど苦手意識なく接することができる男性と出会い自分を変えられるかもしれないと希望を抱いたり、様々な事情や価値観が出てくる登場人物達がぶつかり合いますが、共通として正しくなりたいという欲を抱きながら生活しています。
しかし、その基準となる正しさのイメージがそもそも皆違っていて、自分が正しいと思っていることが他の人にとっては正しいとは限らず、知らずに人を傷つけてしまったりします。逆に自分がおかしいと思って悩んでいる事に共感してくれる人に出会ったり、誰にも理解されなくても曲げたくないこともあってもいいと思える様な作品です。
映画は原作の良さと深みを残しながらエンタメとして分かりやすく映像化されていることはもちろん、新垣結衣さんや稲垣吾郎さんなど実力ある役者さんたちが役にハマっていた近年でも群を抜いた理想の映像化作品になっていると思います。
5人のメインキャラクターの群像劇で、それぞれ年齢も立場も価値観も違う5人の視点から結果として起きてしまうとある事件に向かってストーリーが進んでいきます。
小説と映画ではその演出方法が違い、小説ではプロローグとしてその事件が起きて関係者の事情聴取するシーンから始まり、なぜこんな事件が起きてしまったのかというのが少しずつ明かされていきますが、映画では時系列順で話が進みます。
朝井リョウさんは小説のエンタメとして最初に何が起きたかを見せて読者に興味を惹いて、結果が分かっているハズなのに騙されてしまうような、読者をミスリードさせながら読み進んでもらうやり方を取ったのだと思いますが、映画版では1から話が進み、登場人物がどんな人なのか、何が違和感に感じるのか、5人のストーリーがどう絡み合うのかを役者さんの高度な演技を見て共感したり、一体最後はどうなるのだろうとドキドキしながら観れる映画になっています。
どちらも私は面白いのでおすすめです。
観た後にいろいろ考えてしまう作品で「いろんな価値観を持った人がいて多様性という言葉は所詮自分が想定できる人たちしか内包されていないのかもしれないな→すべての人たちが気持ちよく生きられる社会になって欲しいな→でもそんな社会はありえるのか?→弱みを自分自身受け入れられないこともあるし、弱みに漬け込む人がいるから不可能ではないか→不可能だからこそ皆正欲を持っていて、誰かを傷つけても虚像の正しさを追い続けているのかな→映画でも描かれていたけど人はそもそも1つの角度から測れなくて要素1つ1つで人は多数派になったり少数派になったりするよな→では、君たちはどう生きるか→わあああああああああ」と私の思考回路はショートしましたが、ストーリーとして単純に馬鹿面白い作品なので私は肩を抜いて楽しめるエンタメ作品でもあると思っています。
第1位
2023年一番面白かった映画は『グランツーリスモ』です。
SONYが世界に誇る人気カーレースゲーム『グランツーリスモ』シリーズの実写化が堂々の第1位。
ストーリーは『グランツーリスモ』のゲームをしているプレイヤーを集めて実際のカーレーサーとして活躍してもらうために育成をするプロジェクトに参加した主人公が1流レーサーに成り上がるまでのストーリーでなんとオリジナルではなく実話を基にした映画です。
グランツーリスモプレイヤーヲタクの主人公ヤン・マーデンボローがプロのカーレーサーになるまでのストーリーがとにかく王道中の王道で見ていて応援したくなり感情移入度100%で観ることが出来ます。
ストーリーが友情・努力・勝利を掲げるジャンプ作品顔負けの展開で、もしこれが実話を基にした映画ではなくオリジナルだったとしたら『こんな王道中の王道作品今更作る必要ないだろ!』と編集陣が撥ねるくらい王道的でよく出来ています。
決してご都合主義とかではなく、レーサーをずっと夢見ていたけど家族からゲーマーがなれるわけないというスタートからゲームスキルとパッションで逆境を跳ね返すヤンの姿勢が実を結び、多数の候補生の中から選抜されてプロレーサーデビューを果たします。デビューしてからも順調ではなく、ゲームでは体験できず現実のレーサーにならないと見舞われることがないトラウマ展開があり引退の危機に瀕しますが、まわりの師匠やプロジェクトを立ち上げたプロデューサーの支えがあり覚悟を決めたことでもう一段階ヤンが勝負の舞台に出て、成長する展開は熱かったです。
映画館ならではの爆音のエンジン音やタイヤが地面に擦れる音など臨場感もとてつもなく、見るならIMAXかドルビーがおすすめです。
また、現実でレースの練習をするにはレース場を借りなければいけませんし、レース場は多種多様で練習していたレース場と全然コース形状が違うことがあります。しかし、ゲーム『グランツーリスモ』なら世界中にあるレース会場を忠実に再現しており、何度も試行錯誤すことが出来ます。(しかも安全に)ゲームプレイヤーならではの思考や作戦をフルに活用して他のレーサーを抜いていくヤンの活躍は見ていて気持ちの良いし、ゲームの良い宣伝にもなったかなと思っています。
最後に
まさかのカーアクション作品が2作品となっていました。私がカーアクション物が特別好きだったわけではありませんのでたまたまです。
1位の作品は毎年ダントツで面白い作品になるのですが、今年は1位~3位がほぼ同順位で1位を選ぶのがとても難しかったです。
ちなみに6位~10位は
6位 AIR
7位 Gメン
8位 ガーディアンズオブギャラクシーvol.3
9位 アリスとテレスのまぼろし工場
10位 スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
となりました。
1年間沢山映画を観に行けて楽しかったです。
来年も映画感想の記事を掲載するつもりなのでよろしくお願いします。