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『フィッシュストーリー』邦画界の傑作がついにアマプラで見られます!

伊坂幸太郎作品の一つ『フィッシュストーリー』傑作です。
売れないロックバンド『逆鱗』が『FISH STORY』という曲を発売して解散。時が流れ、2012年地球は彗星が衝突して滅亡する危機に陥りますが、彗星はとある宇宙飛行士の活躍により消滅、地球の危機を救ったのはなんと売れなかった曲『FISH STORY』だった。
何故そうなったのか、物語はその謎を複数の時系列で描かれ、明かされていきます。

2009年に映像化されており、私は原作も好きなのですが映画版はもっと好きで、中学生の時にゲオでレンタルしてからオールタイムベスト入りしている方が作品の1つになっています。

この映画は衝撃的!という展開はないのですが、ストレスたまらないし、見ていて楽しい。好きすぎて当時借りたときは何回も見てから返したことを今でも覚えています。
僕がこの映画が好きな理由は以下の点にあります。

・2000年代後半の邦画が好きでとにかくキャスティングが刺さっている

・1つの行動が世界を変えるバタフライエフェクト系の作品になっている
 ものの、バタフライエフェクトが好転として描かれている

・それぞれの時系列に主人公がいてその活躍が描かれているオムニバス
 形式な作品で、最後に1つの作品としてまとまっている構成が素晴らしい

この作品の魅力を語りますので、アマプラ配信されたこの機会に是非ご覧ください。

2000年代後半の邦画が好きでとにかくキャスティングが刺さっている

僕が映画にはまったのは2010年の頃で、はじめは友達と邦画を中心に観ており、作品を探すうえで、ネットにありふれている『2000年代邦画ベスト〇〇』みたいなサイトから決めていました。

そこでよく紹介されていたのは2006年~2009年代の邦画だったため、まさにこの時代の作品は映画を観るうえでの基礎を作ってくれた僕にとっての邦画黄金時代でした。
『手紙』『THE有頂天ホテル』『それでも僕はやってない』
『アヒルと鴨のコインロッカー』『転々』『littleDJ~小さな恋の物語』
『デトロイトメタルシティ』『アフタースクール』
『容疑者Xの献身』『南極料理人』『なくもんか』などなど好きな邦画を上げたらきりがないくらいの名作ぞろい。

余談ですが、この時代のDVDを借りると、本編前に別の映画の予告編が収録されていて、それを見るも楽しみの一つで、早送りせず全部見てました。

邦画黄金時代、一番好きな作品がフィッシュストーリーです。
話の好きなところは後で語ります、今伝えたいことは映画のキャスティング素晴らしい。主役・脇役が豪華!
当時としてはもしかしたらまだ売れ始めで、豪華という認識ではなかったと可能性がありますが、今思えばひっくり返るくらい豪華だと思うはず。

『FISH STORY』を生み出したロックバンドメンバー『逆鱗』の中には伊藤淳史さん・高良健吾さんなどが名を連ね、脇役として眞島秀和さんと江口のりこさんもいます。
この時代の伊藤淳史さんと高良健吾さんは個人的に役者としてめちゃくちゃ脂がのっている時期だと思っており、ロックバンドに情熱を捧げている2人のシルエットがとにかくかっこいい。

この写真かっこよすぎて震える

『逆鱗』のロックTシャツがあったら間違いなく買って着ています。

『FISH STORY』の曲には1分間の無音パートがあり、何故無音なのかという謎が物語の伏線にもなっているのですが、その無音となった経緯と高良健吾が演じたキャラの心の叫びは心がはちきれるくらいかっこいい。

時が流れ、たまたま『FISH STORY』を聞き、とある事件に立ち向かうことになる男役として濱田岳がキャスティング

コンパで友人が女の子を無理やりホテルに連れていく姿に立ち会うも、止められず自分を責めるシーンと、その後男性が女性を襲う事件に出くわしまた目を背けるものの『FISH STORY』のメロディが脳内で流れ奮い立つ姿はこの映画の名シーン。
『アヒルと鴨のコインロッカー』に引き続き伊坂幸太郎作品に登場ということで伊坂作品とかなり親和性が高い。
ちなみに、犯人役として一瞬しか映りませんが滝藤賢一さんも出ています。

さらに時は流れ、シージャック事件が発生するパートもあり、事件に巻き込まれた女子高生役として多部未華子さん、そしてシージャック犯に立ち向かうヒーローとして森山未來さんが出てきます。
このパートがとにかく大好き、寝過ごしたせいで船を降りることができず、そのせいで事件に巻き込まれることになった多部未華子さんの残念美少女キャラが良く、笑顔になったり、泣いたり、怖がったりする顔が可愛い。

当時は『君に届け』『夜のピクニック』『デカワンコ』にも出ており全部見てました。

また、ヒーロー役として登場する森山未來さんは父から無理やり強くなるための訓練をさせられたたため、まだ正義についてはよくわかっていないし少し皮肉屋でもあるけど、心優しく人を救うことを諦めないヒーローという難しいキャラを100%で演じています。

ケーキ皿を持ちながら戦う森山未來がone-pieceのサンジみたいで本当にかっこよくて、当時僕の推し俳優は彼でした。

そして、時系列を通して登場するキャラクターもおり、大森南朋さんや石丸謙二郎さんがキャスティングされています。

昔も今も一線で活躍している役者が登場しているのに、邦画超大作という感じでは作られておらず、どこかゆるさもある映画なので気楽に見ることが出来るのがこの映画の一番の魅力です。

1つの行動が世界を変えるバタフライエフェクト系の作品になっているものの、バタフライエフェクトが好転として描かれている

バタフライエフェクト系(風が吹けば桶屋が儲かる系)の作品はいくつもありますが、1つの行動が大変な災難に発展する、つまりだんだんとマイナスの値が大きくなっているパターンが多いです。しかし、この映画は彗星直撃という地球規模の理不尽な出来事が『FISH STORY』誕生をきっかけに(この曲に関わった人たちはもちろん将来世界を救う曲になることなんて思ってもいませんが)結果として、地球滅亡の危機を乗り越えることになり、ご都合主義はあれど、ドラマチックにそしてロックに描かれています。

それぞれの時系列に主人公がいてその活躍が描かれているオムニバス形式な作品で、最後に1つの作品としてまとまっている構成が素晴らしい

伊坂幸太郎さんの作品は個性的な登場人物がオムニバス形式で物語が展開され、最後に怒涛の展開が起きて複数の物語が収束する話を得意とされており、その独特な世界観から伊坂ワールドともいわれています。
『フィッシュストーリー』もその手法が存分に使われており、パンクロックを流行らせようとする人たち、弱気な自分を変えたいと思う臆病者、ヒーローを目指す人、嘆く人と様々な登場人物が出てきて、自分の行動が世界を救うことなんて思ってはおらず、それぞれの人生をあがいています。

アマプラで久しぶりに観られて良かった、最近2000年代後半の映画であるデスノートが配信されたり、20世紀少年といった邦画超大作も登場するらしいのでこの流れが続いてくれることを願っております。





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