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岩上の鷲

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初めて小説を書いています。 ただの自己満だが楽しいからOK いくぜ。
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〜3〜

ここか。

我々は依頼主から届いた手紙を元にその現場へと向かった。
到着した場所には、家というよりは近代的な建物
、昭和初期の西洋からインスピレーションを経た半分城のような建物があった。白色の外壁には蔦が絡まりその色を覆って、まさしく美術館という圧倒的存在感でそこに建てられていた。

正門をくぐり建物の中に入ると、そこには燕尾服を着た男性が立っていた。

男性の白髪が少し混ざった髭と髪は

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〜2〜

藤縄辰巳という男を一言で表すのであれば、
「変人」これに尽きる。
彼と初めて出会ったのは18歳の頃。
当時は未成年にも関わらず、喫煙を日課としている身分であった。
みんなが寝静まった夜、己の息を殺し、寮監の目を掻い潜って一人喫煙所へ通っていた。
己が忍者を生業としていたならば良い忍になっていただろう。なんて呑気に考えながら一日の締めを行っていた。

ある日のことだ。
夜中、いつも通り喫煙

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〜1〜

依頼は1通の手紙が始まりだった。
我々としては実に半年ぶりの依頼でワクワクとドキドキが止まらなく半分浮かれながら手紙を開封した。

いやいやいや、待て待て、怪し過ぎるだろうこれ。
ツッコミどころが多過ぎる、さりげなく山崎のまさよしが顔を出してるんよ、、隠しきれてないのよ、てゆーか探す気ないだろこの人!!!!
Y.Nってなんだよ名前書けよ普通に!!!!
めんどくせぇなコイツ!!!!
やるわ

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〜0〜

20XX年、都内某所。
どんより灰色な空。高層ビルの上は雲がかかって全体が見えなくなっている。
鬱陶しい湿気が肌に纏わりつく。
ああ、もうそんな時期になったのか、、
ついこの間年が明けた感覚だったのに世の中そんなに甘くないと言うことなのか。
年々、月日の経過が速くなるのはなぜだ、、、
そんな独り言を聞いてか、隣から
「人間という生き物は歳を重ねるごとに時速が上がるんだよ。1年間に対して5

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