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わたしが研究をしながら仕事をしたのは

仕事をしながら大学院で研究をする人は増えていますが、仕事を辞めて大学院に入った私は「研究をしながら仕事」をしました。研究が「主」で仕事は研究のためでした。研究は学校現場に還元することが目的。研究のための研究にしたくなかったからです。もちろん学費を得るためでもありました。

一度は学校現場を離れた私ですが、大学院に入学した後も様々な教育現場で非常勤講師として仕事をしました。

修士課程の2年目に勤務を始めたのが私立の中学校です。大学の掲示板で仕事を見つけました。募集要項を見て興味が湧き応募しました。小学校から大学までの一貫校で日本でも有数の学費の高い学校として知られています。小中高は首都圏に複数あります。裕福な家庭の子どもが多く在籍しており、政界や財界、学術や芸術の分野などでも有名な人の子弟がたくさんいました。それまで公立学校の経験しかない私には別世界の感がありました。私は週に2日、英語を10コマ担当しましたが、新たな学びがたくさんあり楽しかったです。私立学校と公立学校の違いも実感しました。

中学校のほかには大学2校で非常勤講師をやりました。ひとつは理工系の国立大学で1年生を対象に論文やレポートを書くためのアカデミックライティングの授業、もう一つは在籍する大学の学部の授業で、私の専門である海外の教育についての授業です。いずれも個人的に仕事を依頼されました。

その後、自治体の社会教育機関で専任講師として採用されました。この機関は県立の大学が閉学となったあと、その人的資源を活用して言語や文化に関する講座を行い、県民の国際理解を深め、多文化共生社会の実現に寄与することを目的に設置されたものです。県民の多文化・異文化理解の推進や外国籍県民が生活しやすい環境づくりを目指し、教員研修、外国籍県民の日本語講座、生涯学習などの講座を開設していました。私は主に教員研修と生涯学習部門を担当し、前者では外国語を担当する教員のための研修を担いました。

さらに地元の教育委員会から個人的に依頼されて外国籍生徒の日本語指導や病気療養をする教員の代替などもやりました。現場が教師不足の対応に苦慮していることを実感しました。

いずれにしても、こうして学校現場とのつながりを保ちながら研究を進められたことは、現場に還元できる研究を目指す私にとってはとても役立ちました。

仕事をすることは学費を得るためでもあります。教員の職を辞して大学院に入った私は無収入となりました。大学院で学ぶには学費がかかりますし、研究には費用が必要です。特に海外調査は大きな出費です。研究費などのない私はすべて自費で対応しなければなりません。働くことは必須でした。

修士の記事でも書きましたが奨学金はとても有難かったです。私は博士課程でも学内の奨学金を得ることができました。ひとつは博士課程に入学した時に授与された特別奨学金です。入学試験の結果で選ばれるものですが研究科で1名の枠に選ばれたのです。予想もしていなかったのでびっくりしましたが嬉しかったです。2年目、3年目も創立者の名を冠した奨学金を得ることができました。博士課程の在籍者全員に給付される奨学金も得ました。さらにTAや試験監督も続けました。

こうして仕事で得る収入と奨学金とで私は大学院での研究を続けることができました。


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