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115 生徒の作品や課題は生徒のもの

新年度に向けて校内の片付けに追われている学校も多いのではないでしょうか。一年間(時に何年もの間)にたまったものは山のようにあると思います。ゴミとして捨てているものの中に生徒の作品や課題などはないでしょうか。

兵庫県の中学校で夏休みの理科の自由研究で特選となった作品を学校側が紛失(?)したのか生徒に返却されなかったという報道がありました。この件は裁判沙汰となり、判決は「廃棄などの処分がされたと考えるのが自然」などとして学校の過失を認め、計2万円の支払いを命じたそうです。

裁判で市側は「生徒は教育上の観点から作品を無償提供し、所有権は中学校にある」と主張し、紛失や処分をしても所有権を侵害したことにはならないと訴えたそうです。「所有権は学校にある」との根拠はどこにあるのでしょうか。作品を提出するとき生徒は「学校に無償で提供している」と思っているでしょうか。課題を集める先生たちも「提出されたものは学校のもの」だと思っているのでしょうか。

学校に焼却炉があった時代、年度末になると教員が不要になった紙類をたくさん焼却していました。その中に生徒が書いた作文や課題を燃やしている教員が時々いました。私が「返さなくていいの?」と聞くと「卒業しちゃったからもう返せない」とか「生徒は返してほしいなんて思っていない」「返してもすぐに捨てちゃう」などという言葉が返ってきましたが、私は「本当にそうかな?」と思いました。少なくとも処分するか否かは生徒自身が決めることです。

生徒の作品や課題は生徒のものだと私は思います。だから期限が来たら返却するのが当然だと思います。私は生徒から集めたものはどんな小さなものでも年度末にはすべて返却していました。「こんなものいらないよ」という生徒はいましたが「いらなかったら自分で捨てて」と言いました。集めた物は預かっているという認識だったからです。

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