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高齢ドライバーの「幻想」?

知人の女性は来年90歳になりますが毎日車を運転しています。車がないと生活できないところに住んでいるわけではありません。公共交通機関が充実した首都圏の便利な町に住んでいます。

彼女は運転歴が長く、はるかに年下の私などより運転はずっとじょうずです。でも年齢を考えたら彼女は運転をやめた方がよいと私は思っています。周りにもそう思う人が少なくありません。高齢者の事故は運転歴や運転技術とは関係なく起きています。私はそれとなくやめることを勧めるのですが、彼女は「もうやめなくちゃね」と言いながら続けています。

私自身は50代の半ばくらいから自分の運転に不安を感じるようになりました。ヒヤッとすることが少なくないのです。運転は早めにやめようかなと思っています。

以前は80歳を過ぎた人が運転するなんて考えもしませんでしたが、最近は80代でも運転する人はたくさんいます。車で走っているとすれ違ったときに「今の車いったい何だったの!」と驚くことがあります。さすがに逆走する車に遭遇したことはありませんが、それに匹敵する危険な車を目にすることが増えてきました。運転席を見るとたいてい高齢者のようです。

高速道路でも高齢者の運転する車は多く目にします。町中では車の窓越しにしか見えませんが、サービスエリアではドライバーが降りてくるのでどんな人かよく分かります。足がヨボヨボしていたり、動きがぎこちない人もいます。「こんな人が高速道路を運転しているの?」と思うとぞっとします。本人は大丈夫だと思っているのでしょうか。

高齢者の数が増えているのですから高齢ドライバーが増えるのは当然です。でも、高齢者の事故が多発し、免許返納がこれだけ促されているのに、なぜ運転を続けようとするのか私にはよく分かりません。運転に自信があるのでしょうか。「まだできる」「あと少しできる」という気持ちがずるずると運転を続けさせるのでしょうか。

物流ライターの二階堂氏が次のように書いています↓

高齢ドライバーによる事故を防ぐ方法は果たしてあるのか。真っ先に思い浮かぶのが、高齢者による運転免許証の自主返納である。事故を起こすリスクが高い高齢ドライバーに、運転をさせないという選択である。

それでは、高齢者による運転免許証の自主返納の現状はどうなのか。

警察庁の発表によると、近年の高齢者による運転免許の返納者は、母子らが犠牲となった池袋暴走事故が起きた2019年には60万1022人と過去最多を記録したが、2021年の返納者は51万7040人、2022年は44万8476人となっており、その後は年々減少している。

高齢ドライバーが起こす事故は、どのような要因のものが多いのか。運転免許証の返納が多かった2019年に発生した、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は358件である。以下、要因の順位である(出典:警察庁「令和元年における交通死亡事故の発生状況等について」)。

「操作不適(ハンドルの操作不適、ブレーキとアクセルの踏み間違いを含む)」30%

「安全不確認」19%

「内在的前方不注意(漫然運転等)」19%

「外在的前方不注意(脇見等)」10%

「判断の誤り」7%

事故原因のうち「操作不適」が一番多いところをみてわかるように、歳を重ねるにつれて、認知能力や瞬時の判断速度が著しく落ちていく。しかし、そのことを認識している高齢ドライバーがどれほどいることか。

NEXCO東日本の調査によると、高齢になればなるほど運転に自信があるという調査結果が出ている。66~69歳は73.5%、70~74歳は75%、75歳以上にいたっては79.4%、実に約8割の人が運転に自信を持っているのだ。

その自信の表れか、世間を賑わす高齢者の事故は他人事、自分は事故など起こすはずもないと思っている高齢ドライバーは多い。万が一事故が起こったとしても自らに落ち度はなく、「車が故障した」や「相手が急に飛び出してきた」など周りに責任転換してしまうのであろう。

こうした高齢者の「運転に自信あり」という幻想が、免許証返納者の数字にあらわれている。

https://gendai.media/articles/-/108690

老人としての自覚の欠如、「幻想」が高齢ドライバーにはあるように感じます。

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