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自立(律)した教員を育てるためには?

県の教員研修機関に勤務していたとき、とある大学の先生からメールがありました。首都圏の教員養成系大学の教授で、学会でも幅広く活躍されている方です。学生が卒論で教員研修のことを調べているので話を聞かせてやってほしいということでした。私でお役に立てばとお引き受けしました。

当日は先生もいっしょに来られました。礼儀だと思われたのでしょうか。学生だけで来ると思っていた私にはちょっと驚きでした。先生はお忙しい方ですし、本人はもう大学生です。「過保護だとは思ったのですが・・・」と先生はおっしゃいましたが、確かに「過保護」のように私には思えました 。

最近の大学には「教職支援センター」(名称は大学によって異なります)があり、教員になる学生のためのきめ細かな指導が行われているようです。実務家教員も指導に当たることが多く、教員採用試験に向けた面接指導や実習指導を行っています。校長をやめたあと特任教授となったかつての同僚が「面接の練習を何度もやるんだけどうまくできない学生がいて困っちゃうよ」と言っていました。彼は何度も何度も練習に付き合ったそうです。「それがその学生の能力なんじゃないの? 面接で能力以上のことを見せようとしたってメッキはすぐにはがれると思うよ」と私は言いましたが、正直なところ大学生にそこまでやるのかという驚きがありました。現場の教員から実務家教員になった人の中には大学生に対してもかつて自分が教えた中高生のように対応する人が少なくありません。「大学生だってまだまだ子どもだから」などと言いながら。手厚い支援をすることは大事ですが、時にやり過ぎていることはないでしょうか。手取り足取りの指導が却って自立(律)した教員の育成を阻んでいるのではないかと心配になることがあります。教員養成に携わる先生の中には反論があるかもしれませんが。


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