『SATC・デスパレートな妻たち』の社会学:佐藤佑介

ライター。 海外エンタメ、英語学習が専門です。

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〇〇版SATCと呼ばれたドラマたち

SATCが大ヒットして以降 1.複数の登場人物(主に女性)が登場するもの 2.女性の本音や大胆に性に踏み込んだもの 3.ファッショナブルで視覚的に華やかなもの これらの要素を含んだドラマの多くが○○版SATCと表現されました。 たくさんあって面白いので主にアメリカと、言語や文化的に比較近いと思われる、イギリス、カナダのものを中心にまとめてみます。 ■郊外版SATC・主婦版SATC 『デスパレートな妻たち』 SATCと唯一、同格の面白さと深さがあるドラマ。 ■レズビア

    • SATC好きな人におすすめ「ブラザーズアンドシスターズ」

      SATCイズムを受け継いでいるのに、あまり類似作品として挙げられていないなーと思うドラマとして「ブラザーズアンドシスターズ」があります。 SATCの衣装やナイトライフなど、華やかなところだけが好きな方なら「ゴシップガール」とか、「エミリー、パリへ行く」で良いと思いますが、SATCのドラマ性や大人同士の人間関係や人生での悩みなど、深い部分が好きな方には「ブラザーズアンドシスターズ」がおすすめです。 まず ■出演者が被っている ①SATCのスミスこと、ジェイソンルイスがこ

      • "人がいなくなる"系サスペンス

        私が好きな映画のジャンルに"人がいなくなる"系サスペンスがあります。 例えば以下の作品群です。 「バルカン超特急」 「バニー・レイクは行方不明」 「失踪」 「フライトプラン」 また、変化球としては 「フォーガットン」 「チェンジリング」 なども同系統と呼べるのではないかと思います。 何の理由もなく人が消失する。って怖くないですか? いろいろな恐怖ってありますけど、よく分からない現象というのがが一番恐ろしいのではないかと思います。 また、不条理さを描く以上、明快な

        • サイコ→ハロウィン→スクリーム

          私は、『スクリーム』(1996)という映画が大好きで、初めて観たとき、それはそれは衝撃を受けました。 しばらく、離れていましたが、リブート版の『スクリーム』(2022)が公開されたのをきっかけに『スクリーム』熱が再発し、『スクリーム』に似てる映画を検索しまくり、いろいろと観ています。 が! 『エルム街の悪夢』を観ても、『ファイナルデスティネーション』を観ても、『パラサイト(The faculty)』(1999)を観ても、イマイチ面白いと思えず、(娯楽映画としてはどれも非

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          全シリーズ中ベスト!「Lの世界ジェネレーションQ」シーズン3

          「Lの世界 ジェネレーションQ」シーズン3を見終えました。 シーズン4には更新されず、これがファイナルとなったようですが、結果的にオリジナルの「Lの世界」(2004~)も含め、シリーズ全体を通して、こののシーズンがベストであると思いました。 ①雰囲気が明るい! 「Lの世界」は、オリジナル含め最初から何だか重く、ジメジメした雰囲気のドラマで、「SATC」のようなコメディを求めて観ると、がっかりする感じがありました。「L ジェネレーションQ」シーズン3は、全体を通して、初め

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          名作になりえた迷作、NETFLIX「グラマラス」

          NETFLIXの「Glamorous」。 私は嫌いではないのですが、駄作と言わざるを得ません。 まず、キムキャトラルがメインの登場人物として出演するのが嬉しかった!しかも舞台はニューヨーク。 SATCのサマンサの面影を求めているファンにとっては、それだけで、魅力的な作品です。 しかも、配信日は、「And Just Like That(AJLT)」のシーズン2と同じ日にぶつけてきました。 「AJLT」にサマンサはいないけれど、パラレルワールドのように「グラマラス」には

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          良作「The Bold Type」のひとつだけ残念なところ

          「NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち(原題 The Bold Type)」を見返しているのですが、これ、本当に良くできていますよね。 現代版「SATC」と言われましたが、オリジナルの「SATC」以降に誕生した"SATCみたいなドラマ"群の中でおそらく一番良くできていると思います。 何ていうか、"社会派"なドラマなんですよね。 ムスリムのLGBTとか、異なる人種の間に生まれた人のアイデンティティとか、転職して後悔するとか、がん予防療法とか、「SATC」の先にある社

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          「SATC」の対極にある存在としてのHBO「GIRLS」の魅力(←DVD化希望!)

          「SATC」、「デス妻」など、エポックメイキング的なドラマが数年にいくつか登場しますが、同じくらいのインパクトがあった。にも関わらず、日本であまり浸透していないドラマにHBOで放送された「GIRLS」があります。 「SATC」と同じケーブル局HBOで制作されたことや、ニューヨークが舞台なこと、そして女性4人の群像劇であったことなどから現代版「SATC」と呼ばれたこともありましたが、実際には、「SATC」の対極にあるようなドラマです。 まず、とにかく全然キラキラしていない。

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          SATCフォーマットの元祖は何か?【女性4人組の群像劇】

          「SATC」形式(フォーマット)とは? ①メインの登場人物が4人である。 ②一応の主役はいるものの、4人のストーリーが同時進行で描かれる群像劇である。 ③女性の本音やぶっちゃけトークがある。 ④仲良し4人組設定。 ⑤個人差があるにせよ、それぞれに大胆な行動をする。 「SATC」の何が魅力かというと、4人のキャラクターがいて、たとえ主人公に好感が持てなくても、複数のキャラがいることで、誰かに親しみを持って観ることができる点だと思うんですよね。 また、4人というのが

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          お洒落な"土曜ワイド劇場"「マーダーズインビルディング」

          ディズニープラスで「マーダーズインビルディング」のシーズン4がスタートしました。 アメリカと同時公開かつ、日本語吹き替え版もつくられていて、力が入っていますね。 山寺宏一さん、林原めぐみさん、平野文さんなど、豪華声優陣に加え、今回個人的に良かった!!!と思ったのは、今シーズンのゲストエヴァロンゴリアの吹き替えが日野由利加さんだったことです。 エヴァは、デス妻のガブリエルという認識でしたので、もう彼女の声があてられているだけで、見たくなってしまいます。(数年前のロレアルエ

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          2つの黒人版SATC「ランザワールド」「ハーレム」

          現在進行中の女性4人主人公で黒人女性版SATCと呼ばれている作品が2つあります。 一つ目はアマゾンプライム制作の 「ハーレム」 日本語吹き替え版があることや、プライム会員数が多い日本でのアクセスしやすさなどから、こちらの方が存在感が大きいのですが、私が個人的に好きなのは STARZ系列の 「ランザワールド(Run The World)」 です。 偶然にも同じ時期に制作された、ニューヨークのハーレムを舞台とした黒人女性4人の群像劇。 SATCの雰囲気により近いの

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          日本版「SATC」は、「渡る世間は鬼ばかり」説

          何年か前に、ネットの掲示板で、「渡る世間は鬼ばかり」は、ある意味日本版「SATC」ではないか、という書き込みを見ました。 そんなあほな、と思ったのですが、あながち間違っていないのではないかと思います。 というのも、「SATC」面白さの本質とは、ファッションや過激な性描写ではありません。 「SATC」の魅力とは、女性が生きる上での社会的困難とか人生模様などを異なるタイプの女性達の視点から描いた群像劇であるところです。 そんななわけで、その点から考えれば「渡鬼」はかなり、

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          【SEX and 暴力】実はディズニー制作の映画たち

          映画が始まる前に流れる映画会社のジングルやロゴが好きです。 20世紀スタジオ(旧FOX)のファンファーレや、MGMのライオン、パラマウントの山や、ワーナーブラザーズのマークなどです。 子供の頃、どう考えてもメジャーな会社の制作(人気スターが出ている、予算が潤沢な気がする、広告などのプロモーションに力を入れている等)なのに、見慣れないレーベルの映画作品群があり、このレーベル何なんだろう?と、とても不思議でした。 最たるものがタッチストーンピクチャーズです。 例 『天使にラ

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          『エミリー、パリへ行く』とは何なのか?

          待ちわびた「エミリー、パリへ行く」のシーズン4のパート1が配信され、あっという間にパート1を観終わりました。 楽しみにしていたものの、やっぱり中身が何もないなあと思い(笑)、このドラマっていったい何なんだろうと改めて考えさせられます。 例えるなら、見た目がかわいいパッケージに包まれた、話題のお菓子をお土産にもらい、わくわくしながら、包装を開けて、食べたところ、たいして美味しくない。という感覚でしょうか。 ただ、毎回、見た目が華やかで世の中的に人気があるようなので、ついつ

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          似たもの同士は合わない

          現実社会でも思うのですが、キャラがかぶっている人同士は、仲良くなるのが難しいと思います。 おそらく、生き物として無意識に生存本能が騒ぐのでは。 「デス妻」のシーズン4、ブリーVSキャサリンは、他人事だと思ってみれば、面白い対決でしたね。  レモンパイすり替え事件で、ブリーは 「私が周りから一目置かれるのは、料理が得意だから。(自分より料理上手なキャサリンがいると)私の存在意義がなくなってしまう・・・!」 これ、現実社会でも切実ですよね。ビジネスシーンでも自分より上の

          近年稀にみる傑作「Why Women Kill ファビュラスな女たち」

          2019年制作なので、もう5年ほど前になりますが、「デスパレートな妻たち」のマークチェリーが手がけた海外ドラマ「Why Women Kill」シーズン1が素晴らしいです。(2024年現在、HULU独占配信中) 「デス妻」+「This is Us」+「めぐりあう時間たち(2002)」+「ウーマンラブウーマン(2000)」 という感じ。 基本的なノリや全体的なトーンは、「デス妻」です。 同じ豪邸に暮らしていた、異なる時代(60年代、80年代、現代)の既婚女性3人を「Thi

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