近年稀にみる傑作「Why Women Kill ファビュラスな女たち」

2019年制作なので、もう5年ほど前になりますが、「デスパレートな妻たち」のマークチェリーが手がけた海外ドラマ「Why Women Kill」シーズン1が素晴らしいです。(2024年現在、HULU独占配信中)

「デス妻」+「This is Us」+「めぐりあう時間たち(2002)」+「ウーマンラブウーマン(2000)」

という感じ。

基本的なノリや全体的なトーンは、「デス妻」です。

同じ豪邸に暮らしていた、異なる時代(60年代、80年代、現代)の既婚女性3人を「This is Us」方式(同時進行)で描いていきます。

別時代を生きた、接点のある3人の女性たちを描いた群像劇という点でみれば、「めぐりあう時間たち」と「ウーマンラブウーマン」とも似ているかもしれません。

ストーリーの面白さはもちろん、各年代の衣装や小道具、社会背景などのディテールも素晴らしいんです。

時代によって、女性たちの立場や、地位、恋愛観などがどう変化してきたかの対比。そして、白人、アジア人、アフリカ系と多様性も豊かです。

圧巻なのはクライマックス。
どの世代でも"KILL・殺人"が起きるのですが、その様子が同時進行で描かれます。

カオスなんですけど、あえてセリフがなく、音楽だけのシーンで、ものすごく見ごたえがあります。

なぜ、ゴールデングローブ賞やエミー賞にノミネートされなかったのか不思議でなりません。

全10話で続編、強引な引き延ばしがないのも最高。必要不可欠な話だけ、きっちり無駄のないエピソード数。

ちなみに、当初マークチェリーは、「アメリカンホラーストーリー」のようなアンソロジー(一貫した世界観はあるものの各シーズンで全く別のストーリーを展開する)を計画していたようで、シーズン2もあるのですが、こちらは少し物足りない仕上がりです。(普通に面白いですが、1時代のみの物語)

シーズン1フォーマット(異なる時代同時進行、「This is US」方式)でシリーズ化して欲しかった!

ライターたちが、「デス妻」終了後に思いついたアイデアを詰め込んだ、そんな作品のような気がします。


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