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映画「ドント・ルック・アップ」を観た

割引あり

 今から書く内容は 映画の感想になるのだろうけど、あんまり内容に沿った考察やネタバレ的なものとは違い、地球の環境問題や哲学的気づきになると思うので そういうものをお望みの方は、他当たってもらった方が良いです。映画から派生した広い考察を書き記しております。

 あまり情報を入れずに興味本位で観たが、かえってそれがよかった。ハッピーエンドか、バッドエンドか 人類に救いはあるのだろうかとハラハラしながら見守っているうち ペシミストのわたしが納得いく結果となりました。

 結局、人類は狂喜乱舞に生きてて、不味い状況に置かれても、真剣に向き合おうとはしない。たとえどんなカリスマに諭されても、ヒトラー独裁恐怖を反面教師として学んでしまった現代において 当分のあいだは、真摯にとらえず、この映画の女性キャスターのごとく斜に構え、少しでも笑いに変えながら受け流すでしょう。

 カリスマというのはどういうものか よくよく考えている。

 彼(彼女)は人を魅了する。けれどもそれは決して都合よく何でも聞き入れるわけではない。魅了される側が、何に対して魅了されているのか。性的魅力か、はたまた美声か パフォーマンスか。自分がイヤだと思うこと、不味いと思うことまで無償でイエスと言ってしまうほどお人好しではない。何か自分にご褒美がもらえる。その代償としてならイエスと言えるかもしれない。しかしその程度であって、いくら熱を上げていても完全盲目にはなっていない。(参照:小説【 真・ハーメルンの笛吹き男 】

 たとえば誰もが知るキングオブポップのマイケルジャクソン。

 彼は間違いなく最高のエンターテイナーでありカリスマだった。また彼は心優しい人間でもあった。とても懸命に世界の平和を願い、名曲を残してくれた。だが哀しい哉、結局平和は訪れてはいない。歌だけが流行り、肝心の戦争そのものは全くなくならなかった。これは都合よく商業ベースに利用されていたと言えないだろうか。

 余談になるが、わたしのちょっと笑える実体験の話も組み入れたい。

 学生時分、とあるバイトで本場ジャマイカから来日するレゲエミュージシャンの野外フェスの警備員をやったことがある。客層は予想以上にチャラけたチーマーもどきの連中ばかりで、それを見越してか、屈強な体つきをした専属警備員みたいな黒人を何人も連れて来ていた。 LIVEがはじまると、会場は大いに盛り上がり、アルコールかドラッグかなんかわからんけどもそんなのも入って、チーマーもどきの客たちは曲を聴いているというよりリズムに酔い痴れ、周りのゴロツキどもと「肩が触れた」の何だのイチャモンつけだし喧嘩をおっ始める。すると専属警備員が首根っこをひょいと持ち上げ場外へ放り投げ、「邪魔だから外でやれ」と言ってるであろうスラング英語を吐き捨てる。
 そんな状況下、わたしが最もドン引きしたのは、チャラ女同士の泥沼キャットファイトだった。「ウチの彼氏に手を出した」だの何だの言いながら爪で引っ掻いたり、髪を引っ張り合ったりしていてメチャクチャ引いた。そしてそれを黒人専属警備員がニヤニヤしながら眺めているという地獄図。
 さらに物悲しかったのが、楽しげにレゲエミュージシャンが歌っているのが、ボブ・マーリーの「Everything gonna be Alright」という平和を願う曲だったこと。この修羅場とのコントラストがたまらなく切なかった。

 急に思い出したが、これは いかに名曲がメッセージを蔑ろに形骸化されて歌われているかを象徴するエピソードである。

 さて 本題に戻ろう。

 一体何が最終 人を変えてくれるのか。ランキングにしてみる。(演説、映画、音楽、漫画、文章等、表現手段でのランクづけではないです)

 まず一番は【実体験】。これは明白だろう。自身が体験したことは誰が何と言おうと信じてしまう。スピリチュアルやオカルトはその典型的な例だ。

 次に、直近の【尊敬できる相手からの諭し】。その人から言われることなら真摯に考えざるを得ない。しかしそれでもやはり自分が納得できるかどうかが肝となる。できなければ結局、自分が変わることはありません。

 そして、ここでやっと【カリスマ】の登場。自分から好感を抱く相手、それは恋人であったりアイドルであったりするかもしれない。そんな相手から言われることなら一肌脱いじゃおうっかなぁってなる。けれどもやはりこれは交換条件つき。自分が得する何か(キスされるなどアガる何かでも構わない)をもらわないことには動かない。これは変わっているのではなく、変わったふりをして相手に合わせているだけとも取れる。その程度です。

 さらにランク外をみると、口うるさい親や、嫌いな先生からの説得。知らない人からのウワサ話や友達の友達から流れてきた小耳に挟んだ情報。ニュースやゴシップ記事、アングラ裏情報‥とまあ言い出すとキリがないのでこの辺で。

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