詩 【 タイミング 】
あのひとのようになりたかった
一生あのひとについていこうと思ってた
けれどもわたしは性格から何からまるでちがった
竹を割ったように清々しいあのひとにくらべ
わたしはとてもみすぼらしかった
仕事ひとつにしても
ぐずぐずと 何でも後回し
なれないから憧れるのだろうが
それにしてもわたしとあのひとはちがいすぎた
自分でもどんどん距離が遠のくのを感じた
そして
わたしがあのひとの年齢になった頃
もうあのひとはこの世にいなくなっていた
しばらくわたしは心にポッカリ穴が空き
何も手につかず職も辞すこととなった
わたしは悩んだ 悩み抜いた
そしてようやく一つの答えを得た
── タイミング ──
それがわたしの答えだった
もともとわたしとあのひととは
別の人間
生まれも違えば育ちもちがう
さらには生まれた時間もちがうから寿命が揃うはずもない
わたしはわたしの時間を生き
あのひとはあのひとの時間を生きた
無理に合わせる必要などなかったのだ
ぐずぐずしてるようにみえて
わたしだってちゃんと生きてる
しっかりと着実に時間のなかを歩み続けてる
長生きする人 早逝する人
世にはいろんな人が存在するけど
すべてがタイミングだ
わたしの人生のなかで
たまたまあのひとの人生と隣り合い
たまたま同列の時間を生きた
一期一会という言葉があるけれど
ほんとうにまさしくそうで
幸いにもわたしはあのひとと同じ時間を生きられた
タイミングが良かったのである
この出会いに感謝しつつ
わたしはわたしの人生を続け
わたしのやるべきことをしようと誓う
神ではない 何者かに向かって
20231213
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