詩 【 カタチなきものへ 】
まだ生まれてもいないもの
生まれたけれどもすでにカタチをうしなったもの
この先にも生まれもしなければ誰の目にも触れずにカタチづくらぬもの
わたしはそれらのことを慈しむ
たとえ目にはみえなくとも
それらがこの世のなかに
想像をはるか超えたところに
揺蕩うことを知る
理屈ではなくカラダ全体で感じとっている
わたしのなかにもそれはあるし
それをカタチにできねば
やはりカタチなきもののままである
でもかんたんに放棄することはできない
いつかカタチに生まれ変わらせてやりたいと ひとつひとつを慈しんでる
いずれ わたしもカタチをうしなうだろう
わたしの愛するカタチあるものたちも いずれなくなるだろう
けれども この愛はけっして滅びない
わたしは 愛しつづける
わたしがカタチをうしなったとしても
カタチなきものとして
わたしの愛だけは遺りつづけるだろう
20240310
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