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恐怖の向こう側、、、

僕は怖いモノが苦手だ。
だから、僕は夜勤無しの仕事をしている。

今から話すのは僕が体験した不思議な不思議なお話…。

それは突如としてやってきてしまった。

入所している高齢者は皆、各自の個室を持っている。
僕がそのユニットを訪れた時、利用者の皆様は全員フロアと言われる場所に集まっていた。

「あら、工藤先生。待ってたよ。今日は私の脚、揉んでくれるのかい?」

ヤキモチ焼きの宇田さんが早速先制トライを仕掛けてきた。
…先生だけに(笑)

そして、事件は宇田さんの歩行練習中に起こる…。

歩き終わって彼女の脚をマッサージしている時だった。

僕の左目が確かに捉えた動くモノ…。

居室の扉が10㎝位、開いて閉まったのだ…。

背中に広がるbird skin鳥肌と、増える心拍数。

私は見てはいけないモノを見てしまった…。

スタッフにその事を話すと…

「あー、あの部屋…。夜になると扉を叩く音がしたり…」

Quiet, please!

私はもうその部屋には行けないんだろうなぁ…と事務所に戻る。

何故なら怖いからね!

背中はエアコンの風に当たってほのかに寒い。

…どうせなら、自分の家に帰ってくれよ…。
…そして、出るなら元の自分の部屋にしてよ…。

まぁ、、、死者にお願いをした所で叶う訳が無い。

施設で仕事していて、ふと思う事がある。
死後の世界にも認知症があるの?
もしあるとしたら、、、と考えてしまった僕は死ぬのが怖くなった…。

何故なら…

結局迷って自分の家に帰れてないやん!

そんな事を考えながら、息を切らし事務所の席に座り、コーヒーをひと口。
やや高めの心拍数の中、事務所内のケアマネージャーの小谷と、事務員のお姉様である中塚にその事を話す。

するとである…

「それは、時空の歪みがきっと原因だと思いますよ。」
…とのケアマネージャーの言葉のお尻に合わせる様に

”ピリリ、ピリリ、ピリリ、ピリリリッリ、
ピリリ、ピリリ、ピリリ、ピリリリッリ
ピリピリー、ピリ、ピリリリ、ピリリリ”

中塚が徐に渡してきたのはホワイトボードマーカー。

行く先は施設長の後ろの月間予定表だった。

通行止めな僕の数式を書く回路を精一杯使って書いたエセ湯川。

…ただの落書きがホワイトボードを埋め尽くす。

「工藤くん?」

背後に大教授の視線と共に低めの声が聞こえる。

両肩甲骨の滝を滴り落ちる塩分強めの温め水。

振り返って頭を挙げると、通常業務をしている小谷と中塚…。


……実に面白い👓

ホワイトボードってホワイトって言う割に、イレイサーはどんどん真っ黒になってくんですよね。
今回の主人公はイレイサーでは無く、真っ白い雑巾を使った様で…。
ホワイトボードを真っ白な雑巾で拭く。
すると、雑巾はどうなるんでしょうか…。

丸投げと言う名の人の闇が映し出されるかもしれません。

……………………

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