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気になる祟り系の場所 其の弍

⚪︎ 斑女塚(京都府京都市下京区糸屋町)

 鎌倉時代の逸話集『宇治拾遺物語』には、以下のような奇妙な話がある。
昔、長門国(山口県北西部)の国司(諸国を治めるべく設置された役人)である長門前司には2人の娘がおり、姉はすでに嫁いでいたものの、宮廷に仕えていた妹は独身のまま病で亡くなってしまう。妹の亡骸を鳥葬(死体の処理方法のひとつであり、肉食の鳥類に死体を処理させるもの)で有名な葬送地である鳥部野に運ぼうとするも、移動中に棺桶の蓋が開いており中が空っぽになっている。家に戻ると運んでいたはずの妹の亡骸が家の玄関に放置されているではないか。その遺体を再び棺桶に入れ直し運ぶも同じことが起き、ついには遺体が重くなり玄関から動かせなくなってしまう。そんなにこの場所が好きならいっそ此処に埋めてあげようということで遺体を葬ったのが、現在のここ斑女塚なのである。
 娘を葬った後、家族も亡くなり人々から気味悪がられた屋敷は荒廃し、いつしかこの塚だけが残る。やがて時は流れ、豊臣秀吉がこの神霊を東山五条の佐女牛(さめうし)に移動させようとしたが、怪異に見舞われ計画を断念したという記録が残る。この塚は男性と縁が無かった不憫な女性を弔う遺構ということもあり、未婚の女性がここを通ると破談になるという言い伝えも残る。詳しくは以下の動画をご視聴されたし。路地裏にある超マイナーな場所だが、こうした曰く付きの場所が有象無象にあるのが京都なのである。
この近くにあるお地蔵さんにも曰くが有るとかなんとか。

 ちなみに、鳥部野の近くには難読漢字でお馴染みの化野(あだしの)や
帷子ノ辻(かたびらのつじ)が位置する。化野は無縁仏が沢山あり、心霊写真がよく撮れることで有名だが、帷子ノ辻はマイナーかもしれない。
 そもそも帷子(狭義の経帷子)とは、仏式で死者を葬るとき、死者に着せる着物を指す。高校時代、近くの宿に泊まるべく夜の不気味な帷子ノ辻駅に降り立った際に、このことは全く知らなかったが、そんな不気味な用語が使われるようになった所以とも言える怪談がこの地には存在する。

 今は昔、檀林皇后というその美貌で多くの僧侶を悩ませた女性がいた。あまりに多くの僧侶が彼女に現(うつつ)を抜かことに、敬虔な仏教徒である彼女自身も悩み、自分の死に際は自らの遺体を荼毘に付すことなく、野晒しのまま打ち捨てることを命ずる。その後、彼女の命令は履行され、遺骸は九相図がごとく腐乱し、獣やウジに侵され、多くの僧侶に「諸行無常」を悟らせ、彼らを更なる修行へと駆り立てたのであった。しかし、いつしかその土地に腐乱した女性の死体の姿の幽霊が現れるようになる。その怪異を目撃した人々は、生前栄華を極めた美しき檀林皇后を偲び、檀林皇后が死装束として纏っていた経帷子に因んで、その地を「帷子辻」と呼ぶようになったのである。

 上記サイトにも帷子らしきものが描かれている。話が逸れに逸れるが呪術廻戦の呪胎九相図で九相図を知った方の為にも簡単におさらいしよう。

  1. 脹相(ちょうそう) - 死体が腐敗によるガスの発生で内部から膨張する。

  2. 壊相(えそう) - 死体の腐乱が進み皮膚が破れ壊れはじめる。

  3. 血塗相(けちずそう) - 死体の腐敗による損壊がさらに進み、溶解した脂肪・血液・体液が体外に滲みだす。

  4. 膿爛相(のうらんそう) - 死体自体が腐敗により溶解する。

  5. 青瘀相(しょうおそう) - 死体が青黒くなる。

  6. 噉相(たんそう) - 死体に虫がわき、鳥獣に食い荒らされる。

  7. 散相(さんそう) - 以上の結果、死体の部位が散乱する。

  8. 骨相(こつそう) - 血肉や皮脂がなくなり骨だけになる。

  9. 焼相(しょうそう) - 骨が焼かれ灰だけになる。

 虎杖は対宿儺戦に向けてこれらのいくつかを体内に取り込んだのだろうか(分からない人は無視して大丈夫だよ)

 ちなみに、映画村で有名な太秦(うずまさ)近くには、新耳袋でお馴染みの幽霊マンションがある。個人的にここはかつて世を震撼させた凄惨を極める事件が起きた大阪難波の幽霊マンションと並ぶ双璧だと思う。これだけ古くから曰くが有る土地が密集している地は、日本広しと言えど京の他に無いだろう。


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