非日常が好きだ スノボ前編
私は非日常が好きだ。
冬のある日、スノボに行くことに決めた。
私はさほど上手くないが、1シーズンに数回は行きたくなる。
その日は、格安バスツアーで申し込んだ。
バスの往復に加えてリフト券、さらにはボードのレンタルを付けても9000円ほどのプランだ。
この手のスキー/スノボツアーは、
朝の7時ごろに新宿西口の都庁近くのバス乗り場から出発することが多い。
この日も新宿に、半分寝不足の状態で着いた。
西口からバス停に向かう途中にあるコンビニで朝食と飲み物、あと、私はバスで酔うことが多いので、梅干しも買っておく。
コンビニの時点で既に雪山装備の若者だらけになる。
乗り場には溢れんばかりの人。
私はボードを持っていないので持ち物は少なめだが、持ってきている人はその風貌だけで格好良い。
大きな荷物を預けてバスに乗ると、今日の旅の仲間たち(と勝手に呼んでいる同じバスの乗客)の顔を見ながら自分の席に着く。
男女グループで楽しそうにしているグループ。
男だけの独特なノリで盛り上がっているグループ。
カップルでひそひそと話している2人。
扉が閉まり、運転手が人数を数え終わるといよいよ動き出す。
今回のスキー場は群馬、所要時間は3時間ほどだ。
行きの前半は睡眠に使う。
朝食を食べ終え次第、イヤホンを突っ込んで目をつぶる。
途中、一度サービスエリアに寄るので、そこでトイレを済ませ、メガネからコンタクトにする。
そのあとはスマホでスノボ動画をチェックして予習。
到着は10時。
バスツアーはここからが勝負。
レンタルは多くの場合長蛇の列になる。
いかに早くロッカーを確保して着替えを済ませ、ボードレンタルができるかである。
が、その日は既に多くの人がいてレンタルは長蛇の列だった。
いや多くの場合こうなるのだが。。
自家用車や新幹線、公共バスで既に着いている人が大多数のため、既に激混み状態であることがほとんどなのだ。
仕方がない。
手際良く着替えを済ませてレンタルをなんとか済ませ、ようやくゲレンデへ。
晴天。そして、真っ白な雪。
目に光が集中し、思わず目を閉じる。
危ない、危ない。ゴーグルしないと。
肩を回して、足を曲げ伸ばしして。
準備運動をすると、片方の足にボードをつけてリフト搭乗。
スノボを始めて何年経っても、リフトの乗り降りが一番緊張したりするものだ。
「どうぞ」
スタッフの声で一歩前に出る。
振り返る。
迫り来る椅子。
軽くしゃがんで、、、ストン。
無事、着席。
バーを手前に下ろして、思わず「よし」と呟く。
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