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非日常が好きだ スノボ後編

私は非日常が好きだ。

日常で得られない刺激は、スノボでより一層感じることができる。

リフトを降りると、気温、風、足から伝わる触感すべてが非日常だ。

そして、眼下に広がる真っ白な景色。

専用の装備を身に着け、ここまで登ってきたものにしか味わうことのできない絶景だ。

遠くに見える巨大な山々は地球を感じさせる。

たとえVRで同じような画質が再現できたとしても、五感すべてが混ざり合ってのこの体験を再現することは不可能だろう。

端により、景色を堪能しながらボードに足を固定する。

表情の見えないベテラン風ボーダーが思い思いのスタイルで降りてゆく。

列が途切れたところで、私も足を踏み出した。

加速を感じ、一瞬戸惑う。

が、臆せず。でも体の重心が前方に出すぎないようにバランスをとる。

ぐんぐん加速していく。

風を全身で感じる。

近くに人がいないこと、身体のバランスをみてタイミングを見計らい思い切り腰を傾けてカービング。

雪にエッジをたてたことで足裏にガガガと摩擦を感じる。

次は逆向きにカーブ。

シュー―ン。

ガガガガガ。

体中が歓喜する。

この瞬間のために遥々家からやってきたのだ。

自然のなかで体を開放する。

まるで日々ため込んだエネルギーを使って推進しているようだった。

私はまだ日常を闘える、ふとそう思った。


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