サンコーヨーセツ

着付師 きもの講師

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自己紹介

60歳まで公務員でした。定年退職後、再任用で仕事を続けるという生き方もありましたが、好きなきものの世界に飛び込みました。  一人前になるまではと、お稽古に励む日々でした。主に着付けのお仕事をするようになりました。結婚式場の列席の着付け(留袖、振袖、訪問着)、花嫁の前撮りの着付け、こども写真館での着付け、レンタル衣装店で働くほか、教室で着方を教えるようになりました。  そのような生活を4年ほど過ぎたころ、これでいいのか、と疑問を抱くようになりました。それまでお世話になったきもの

    • 無名の手技

      日本刺繍をはじめて、いろんなタイプのルーペを買った。 自立するルーペ ライトがついたルーペなどなど。 見えないから、繍えない。 繍えないと、悲しい。 それは、ものすごいストレス。 結局、普段かけている眼鏡の上から、ハヅキルーベをかけるのが一番よく見えるということに落ち着いた。 紅会の創設者、齋藤 馨さんの 「手は精神の出口である」という言葉が大好きです。 手がアウトプットならば、目がインプットなんだなーと思うわけで。 美しいものを見て、自分の中に取り込んで、そして

      • 日本刺繍との出会い

        日本刺繍と出会ったのは今から5年前のこと。 阪急百貨店のギャラリーの前で、 紅会大阪教室の作品展のフライヤーを偶然見つけた。 日本刺繍? ホテルグランヴィアなら近いし、 行ってみようかな、、、。 一目見るなり、圧倒された。 すごい、凄すぎる。 一般の方達の作品にしては凄すぎた。 留袖、振袖、訪問着、、、名古屋帯に袋帯、、、。 日本刺繍って、自宅で、自分で、きものや帯を作れるってこと? 家で染織をするのはかなりハードル高いけど、刺繍なら限られたスペースでできるやん

        • はじめよう、大人きもの

          久しぶりにきものを着た。 きもの学院に勤めていたときは、授業をするのに、きものを着る。 辞めてからはなかなか着る機会がないことに気がついた。 そして、いざ着るとなると何を着ていいのかわからない。 きもの学院では、何を着ても良いわけではなく、基本的には学院で購入したきもの。季節にあったコーディネート。そしてマイサイズ(お誂えも学院で。) アパレルの店員さんのように、自社の衣装を着て、生徒さんに素敵だなぁと思っていただく必要がある。 というわけで、わたしは、分不相応な高価

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        • 着付師の現場から
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        • もっときものを楽しんで
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        記事

          着付師の泣きどころ(腱鞘炎になったことありますか?)

          着付師は腱鞘炎になるみたいに思われているかもしれませんが、人それぞれ着付け方や身体の使い方、癖も違うと思うので、使い痛みがどこに出てくるのか一様ではないと思っています。 私の場合、最初に痛くなったのは、左手の親指の付け根でした。 整形外科を受診したのは、おでん屋の仕込みのバイトに行き始めたころ、大根の皮を剥くのに、左手が痛すぎて、大根が持てず、うまくいかなかったことがきっかけで、もし、そうでもなければ、日常生活にそれほど支障もなかったので、あまり自覚もなく着付けをしていた

          着付師の泣きどころ(腱鞘炎になったことありますか?)

          着付けが終わった後が落ち着かない

          いつもいつも100点満点の着付けができるとは限らない 気になるところがあると、式場を出た後もずっと気になって安らげない日がある。 衿元、裾、大丈夫かな 「行ってらっしゃいませ」と送り出した後は、もう手を出せない。 親族写真がある場合は、写真のために主に前姿をチェックして、新郎新婦のお母様が帯に差している末広を手に持ってもらう。 その時点でえっ?という時がある。 お孫さんを抱っこしたのでしょうか? 比翼が飛び出てたり、お手洗いに行った時に無意識に引っ張られたのか?変

          着付けが終わった後が落ち着かない

          着付師の書き入れ時

          いわゆる繁忙期。 ズバリそれは3月と11月でしょう。 寒いとき、暑い時はあまり仕事がない。 1年のうちに、着付師が引っ張りだこなのは1月の成人式。ただし、この1日だけ。 3月は、成人式ほどではないにせよ、大勢のお嬢様が卒業式に袴を着る。 しかも、成人式と違って、卒業式は学校や学部によって日時が違う 着付師としては、数をこなせることになります。 11月は七五三です。 お母様やお祖母様もきものを着ます。 こちらは1件のお仕事に人数が重なり、出張着付けになると、出張費も

          着付師の書き入れ時

          母から、知人から、受け継いだきものをどうするか

          昭和を生き抜いた人々が着用されたきものを、次の世代に引き継いでいく、そんな時期に来ているのだとおもいます。 昭和期のきものは、業界全体が活気に満ちて、今では考えられないような色や、柄や、発想、技術で作られた秀逸なものが多いのです。 お母様のきもの、お知り合いのきもの。 いただいたものの、さてどうしましょう。 以前、家にあるきものをどうするか、でもいろいろ書きましたが、今回は一歩進めて、着る前提でどうするか?というお話です。 きものを受け継いだものの、悩むところはだい

          母から、知人から、受け継いだきものをどうするか

          着るのと着せるの、どちらがお好き?

          きもの教室に通い出して、自分できものを着れるようになったころ、授業の中で、着付け(他装)も習うようになっていました。 自装だけでいい(自分で着るのが目的だし、着れればいいのよ)という人もいれば、他装だけでいい(自分は着れなくてもいいのよ、人に着せる技術を学びたい)という人もいるでしょう。 わたしは、自装を学んだ上で、他装を学ぶ、ということにたいへん意義を感じます。 他装を学ぶことで、客観的な視点から、自装を見直すことができるし、逆もまた真なりで、自装を知っているからこそ

          着るのと着せるの、どちらがお好き?

          初めて結婚式場に着付けに行った時のこと

          はじめて結婚式場に着付けに行った時のことは今でも忘れられない。 先輩の先生と駅で待ち合わせ、スタッフの入り口の場所と、入り方を教わり、事務所に挨拶する。 着付け室に入り、デイスケの確認。 衣装の準備をして、お客様を待つ。 今でも思い出すと、頭がクラクラする。 今日はお客様にとって、とてもとても大切な日。そして、お客様は高額な着付料を払う。その金額に見合う仕事をしなくてはいけない。 こちらははじめてでも、お客様はそんなことは、ご存知ないし、関係ない。 オドオドしてい

          初めて結婚式場に着付けに行った時のこと

          結婚式場の着付け室暗黙の了解

          タイトルは何か怪しげな感じですが、そんなたいそうなことではないのです。 結婚式場で着付けをさせていただいたら、お客様を送り出して、その後、型ものと言われる集合写真までが着付師の仕事です。 写真を撮る時に、留袖の紋がきちんと写るように胸元を整えたり、衿もとが乱れていないかチェックしたり、ご両家のお母様には、帯に差し込んでいた末広を抜いて渡し、どのように持つのかをお教えしたりします。 この時、着付師は自分の着付けたお客様以外は、触りません。 どんなに着崩れていようが、触っ

          結婚式場の着付け室暗黙の了解

          着付けをもっともっとやりたいと初めて思った時のこと(花嫁着付けを学んで)

          着付け教室のカリキュラムの中に、花嫁衣装があり、初めて花嫁衣装の着付けをした時、それほど興味を持てなかったことを覚えています。 その頃のわたしは、自分が綺麗に着れるようになることが大切だったのです。花嫁衣装の着付けは難しく、わたしにとって、現実的でなかった。 その後プロの着付師をめざして、本格的にお稽古を始めたころ、着付師の1級試験を目の前にして、毎日のように練習に励んでいました。 試験は下着をつけるところから補正も含めて、15分で振袖を着付けるというものでした。 と

          着付けをもっともっとやりたいと初めて思った時のこと(花嫁着付けを学んで)

          組紐とわたし

          以前に帯締めについて書いた。帯締めは着装のカナメであると。もしこれが、自作のものなら、こんな素敵なことはない。 これ、わたしが組んだ、帯締めなんです、、、と言ってみたかった。 わたしが組紐を始めたのは今から5年ほど前のこと。 きもの学院の先生に勧められた、ということもあるが、他にもいくつかの理由がありました。 ①手組みの帯締めの締めやすさ、心地よさが気に入った。適度な伸縮性があり、締めた後に、きゅっと戻るような感じがたまらなく気持ちいい。 ②帯締めについて、いろいろ

          子どものきものについて

          ある子ども写真館のレンタル衣装は、とてもよくできています。ものすごく研究されていると思います。 じつに着せやすい。 紐も使いやすいし、 特に7歳女児のつくり帯が使いやすくて、市販のものであのスタイルを見たことがないので、特許を取っておられるのかな、と思います。 半襦袢も簡単でいいし、 五歳男児の着物は丈が短くて作ってあります。身長に合わせていろいろなサイズの袴があるし、袴の紐もワンタッチです。 着せるのも簡単ですし、子どもにとっても快適です。デザインもいろいろある

          子どものきものについて

          子どもの着付け

          わたしは、子どもの着付けが一番好き。 自他ともに認める子ども好きだし、着付けも好きだから、七五三のシーズンは、わたしが一番嬉しい楽しい季節です。 初めて会った子どもと仲良くなるのも、子どもの気を引くのも得意です。 子どもの着付け、と言っても簡単じゃないのです。 昔は、子どものきものは、肩揚げ、腰揚げをして、子どもの身体にサイズを合わせてあるから、洋服みたいにささっと着せて、7歳の女の子なら、作り帯をワンタッチでつけて、帯揚げだの、しごきだの、筥迫(はこせこ)だのを決ま

          一番得意な着付けは?

          フリーになって、さまざまなところへ行かせていただいていますが、ある時、 「一番得意な着付けは何ですか?」 と、質問されました。 その時、咄嗟に答えることができなかったのですが、考えるきっかけになりました。 得意か、どうかなんて、仕事だから、どんな着付けでも、やるっきゃない!! ぜんぶ得意でないとダメやん。 お客様からお金をいただくんだから。 プロですよ? でも、、、わたしが、一番得意な着付けは本当は、何だろう? 得意ということは、一番自信がある、ということですよ

          一番得意な着付けは?