サンコーヨーセツ

着付師 きもの講師

サンコーヨーセツ

着付師 きもの講師

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介

60歳まで公務員でした。定年退職後、再任用で仕事を続けるという生き方もありましたが、好きなきものの世界に飛び込みました。  一人前になるまではと、お稽古に励む日々でした。主に着付けのお仕事をするようになりました。結婚式場の列席の着付け(留袖、振袖、訪問着)、花嫁の前撮りの着付け、こども写真館での着付け、レンタル衣装店で働くほか、教室で着方を教えるようになりました。  そのような生活を4年ほど過ぎたころ、これでいいのか、と疑問を抱くようになりました。それまでお世話になったきもの

    • 真夏、なに着る(薄物の季節)

      暑さ指数が25を超える日は、なるべくなら外出しないほうがいい 洋服でも和服でも同じことではあるけれど、とりわけ和服は身体を覆う布の量が多いし、帯を締める分、暑いと言わざるを得ない ですが、真夏のきもの姿ほど美しいものはない 日傘に籠バッグ、透け感のあるきものは見た目に涼やかで、凛として美しい 夏こそきものを着たいのだ!! 本来、7月と8月(盛夏)は紗(しゃ)か、絽(ろ)など透け感のあるきもの(単衣仕立て)を着るが、透けるので、長襦袢は必須である。長襦袢はきものの下に

      • 単衣のきものを着てみたら

        6月1日と、10月1日に更衣(衣替え)をする。 以前は、学校の制服もこの日を境に冬服から夏服へ。あるいは夏服から冬服に、一斉に着替えたものだった。 今は、その時の気候に合わせて調整している。 きものはもう、個人の自由でいいんじゃない?おしゃれで着るなら、完全に自由でいい。暑さ、寒さに合わせて、調節したらいいと思う。 ところが、茶道や華道など和の習い事などで、きものを着用する場合、そうはいかないかもしれません。 きもの学院で季節の大切さを叩き込まれた私も、なかなか自由

        • きもののコーディネートにおける、足し算、引き算

          きもののコーディネートについて 難しく考えれば、難しいし、簡単に考えれば、簡単であると言えるでしょう。 洋服だって同じじゃないですか? 着たい時に着たいものを着れば良いわけだから。 ところが、常識ある人ならば、TPOはわきまえますよね。デニムで面接とか、Tシャツで結婚式とか、ないわけですから。 一人の時と、同伴者がある時も違いますよね。気心知れた友人、ちょっとした知人、日頃お世話になっている人、ご一緒する人によっても違うでしょう。 それは、洋服であろうが、和服であろ

        • 固定された記事

        マガジン

        • 着付師の現場から
          0本
        • もっときものを楽しんで
          0本

        記事

          帯締めの裏表

          帯締めには、裏と表があるのをご存知でしょうか? 写真のような、高台(組紐台の一種)で組まれた二枚もの(二重になっている)の帯締めは、裏と表が違う色になっていて、二色が反転しています。リバーシブルのように思われるかもしれませんが、リバーシブルではなく、表裏は決まっています。 高台で帯締めを組む時、表面を見ながら組んでいます。組み上がりも、表面はふっくら膨らみがありますし、きれいです。(もちろん裏面もチェックしながら組んでいます。) どうしても裏面を使いたいと思うなら、使っ

          無名の手技

          日本刺繍をはじめて、いろんなタイプのルーペを買った。 自立するルーペ ライトがついたルーペなどなど。 見えないから、繍えない。 繍えないと、悲しい。 それは、ものすごいストレス。 結局、普段かけている眼鏡の上から、ハヅキルーベをかけるのが一番よく見えるということに落ち着いた。 紅会の創設者、齋藤 馨さんの 「手は精神の出口である」という言葉が大好きです。 手がアウトプットならば、目がインプットなんだなーと思うわけで。 美しいものを見て、自分の中に取り込んで、そして

          日本刺繍との出会い

          日本刺繍と出会ったのは今から5年前のこと。 阪急百貨店のギャラリーの前で、 紅会大阪教室の作品展のフライヤーを偶然見つけた。 日本刺繍? ホテルグランヴィアなら近いし、 行ってみようかな、、、。 一目見るなり、圧倒された。 すごい、凄すぎる。 一般の方達の作品にしては凄すぎた。 留袖、振袖、訪問着、、、名古屋帯に袋帯、、、。 日本刺繍って、自宅で、自分で、きものや帯を作れるってこと? 家で染織をするのはかなりハードル高いけど、刺繍なら限られたスペースでできるやん

          日本刺繍との出会い

          はじめよう、大人きもの

          久しぶりにきものを着た。 きもの学院に勤めていたときは、授業をするのに、きものを着る。 辞めてからはなかなか着る機会がないことに気がついた。 そして、いざ着るとなると何を着ていいのかわからない。 きもの学院では、何を着ても良いわけではなく、基本的には学院で購入したきもの。季節にあったコーディネート。そしてマイサイズ(お誂えも学院で。) アパレルの店員さんのように、自社の衣装を着て、生徒さんに素敵だなぁと思っていただく必要がある。 というわけで、わたしは、分不相応な高価

          はじめよう、大人きもの

          着付師の泣きどころ(腱鞘炎になったことありますか?)

          着付師は腱鞘炎になるみたいに思われているかもしれませんが、人それぞれ着付け方や身体の使い方、癖も違うと思うので、使い痛みがどこに出てくるのか一様ではないと思っています。 私の場合、最初に痛くなったのは、左手の親指の付け根でした。 整形外科を受診したのは、おでん屋の仕込みのバイトに行き始めたころ、大根の皮を剥くのに、左手が痛すぎて、大根が持てず、うまくいかなかったことがきっかけで、もし、そうでもなければ、日常生活にそれほど支障もなかったので、あまり自覚もなく着付けをしていた

          着付師の泣きどころ(腱鞘炎になったことありますか?)

          着付けが終わった後が落ち着かない

          いつもいつも100点満点の着付けができるとは限らない 気になるところがあると、式場を出た後もずっと気になって安らげない日がある。 衿元、裾、大丈夫かな 「行ってらっしゃいませ」と送り出した後は、もう手を出せない。 親族写真がある場合は、写真のために主に前姿をチェックして、新郎新婦のお母様が帯に差している末広を手に持ってもらう。 その時点でえっ?という時がある。 お孫さんを抱っこしたのでしょうか? 比翼が飛び出てたり、お手洗いに行った時に無意識に引っ張られたのか?変

          着付けが終わった後が落ち着かない

          着付師の書き入れ時

          いわゆる繁忙期。 ズバリそれは3月と11月でしょう。 寒いとき、暑い時はあまり仕事がない。 1年のうちに、着付師が引っ張りだこなのは1月の成人式。ただし、この1日だけ。 3月は、成人式ほどではないにせよ、大勢のお嬢様が卒業式に袴を着る。 しかも、成人式と違って、卒業式は学校や学部によって日時が違う 着付師としては、数をこなせることになります。 11月は七五三です。 お母様やお祖母様もきものを着ます。 こちらは1件のお仕事に人数が重なり、出張着付けになると、出張費も

          着付師の書き入れ時

          母から、知人から、受け継いだきものをどうするか

          昭和を生き抜いた人々が着用されたきものを、次の世代に引き継いでいく、そんな時期に来ているのだとおもいます。 昭和期のきものは、業界全体が活気に満ちて、今では考えられないような色や、柄や、発想、技術で作られた秀逸なものが多いのです。 お母様のきもの、お知り合いのきもの。 いただいたものの、さてどうしましょう。 以前、家にあるきものをどうするか、でもいろいろ書きましたが、今回は一歩進めて、着る前提でどうするか?というお話です。 きものを受け継いだものの、悩むところはだい

          母から、知人から、受け継いだきものをどうするか

          着るのと着せるの、どちらがお好き?

          きもの教室に通い出して、自分できものを着れるようになったころ、授業の中で、着付け(他装)も習うようになっていました。 自装だけでいい(自分で着るのが目的だし、着れればいいのよ)という人もいれば、他装だけでいい(自分は着れなくてもいいのよ、人に着せる技術を学びたい)という人もいるでしょう。 わたしは、自装を学んだ上で、他装を学ぶ、ということにたいへん意義を感じます。 他装を学ぶことで、客観的な視点から、自装を見直すことができるし、逆もまた真なりで、自装を知っているからこそ

          着るのと着せるの、どちらがお好き?

          初めて結婚式場に着付けに行った時のこと

          はじめて結婚式場に着付けに行った時のことは今でも忘れられない。 先輩の先生と駅で待ち合わせ、スタッフの入り口の場所と、入り方を教わり、事務所に挨拶する。 着付け室に入り、デイスケの確認。 衣装の準備をして、お客様を待つ。 今でも思い出すと、頭がクラクラする。 今日はお客様にとって、とてもとても大切な日。そして、お客様は高額な着付料を払う。その金額に見合う仕事をしなくてはいけない。 こちらははじめてでも、お客様はそんなことは、ご存知ないし、関係ない。 オドオドしてい

          初めて結婚式場に着付けに行った時のこと

          結婚式場の着付け室暗黙の了解

          タイトルは何か怪しげな感じですが、そんなたいそうなことではないのです。 結婚式場で着付けをさせていただいたら、お客様を送り出して、その後、型ものと言われる集合写真までが着付師の仕事です。 写真を撮る時に、留袖の紋がきちんと写るように胸元を整えたり、衿もとが乱れていないかチェックしたり、ご両家のお母様には、帯に差し込んでいた末広を抜いて渡し、どのように持つのかをお教えしたりします。 この時、着付師は自分の着付けたお客様以外は、触りません。 どんなに着崩れていようが、触っ

          結婚式場の着付け室暗黙の了解

          着付けをもっともっとやりたいと初めて思った時のこと(花嫁着付けを学んで)

          着付け教室のカリキュラムの中に、花嫁衣装があり、初めて花嫁衣装の着付けをした時、それほど興味を持てなかったことを覚えています。 その頃のわたしは、自分が綺麗に着れるようになることが大切だったのです。花嫁衣装の着付けは難しく、わたしにとって、現実的でなかった。 その後プロの着付師をめざして、本格的にお稽古を始めたころ、着付師の1級試験を目の前にして、毎日のように練習に励んでいました。 試験は下着をつけるところから補正も含めて、15分で振袖を着付けるというものでした。 と

          着付けをもっともっとやりたいと初めて思った時のこと(花嫁着付けを学んで)