最低の君を忘れない
復縁した彼女と別れた。
まあもう時間の問題だなと察していたし、前回に振られた時ほどの喪失感はなかった。とはいえ、これで確実に独りになってしまった。「彼女います」とはもう言えなくなった。
会っている時の君は最高に可愛くて、何でも言うことを聞いてくれて、僕の心をずっと優しい愛で満たしてくれた。でもそれ以外は最低の彼女だった。後にも先にも、こんな女性は二度と現れないだろう。
それでも、初めて僕を受け入れてくれた人だ。その事実に変わりはない。
恨めしいが、憎めない。写真を見ると、やっぱり愛が芽生えてしまう。もう一度、君が僕を求めてくれるなら、喜んで僕は君の体を抱きしめるだろう。
でも恐らく、もう会うことはない。会ったとしても、再び僕が不幸になるだけだ。それならば、綺麗さっぱり別れてしまおう。
最近、スマホを買い替えた。この5年の間にフィルムは剥がれ落ち、本体が今にも外れそうなほどカバーは欠け、動作も重くすぐにヒートアップする。この旧スマホの待ち受けには、在りし日の僕と彼女が笑顔で写っている。
ここに、二人の記憶を閉じ込める。
美しい思い出だけが残るように。
愛しき人よ、さよなら。
*
*
*
さて、どうしようか。
次の相手を探さねば。
社会人になってからストレスが本当に増えた。心だけではなく、体にも確実に疲労が蓄積されている。恋人がいないと、やってられない!
でも僕は確実に恋愛弱者だ。
生来的にモテないのはもう受け入れるしかないとして、女の子とどうやって距離を縮めたらいいのか何もわからない。
普通にしていたって興味を持たれないし、頑張って話しかけて仲良くなったとしてもせいぜい友達止まり。かといって最初から異性として意識すれば「この人狙っているな」って警戒される。今まで拒否しかされてこなかった僕は自信がない。でも、自信がない男を女子は好きにならない。詰みやん。
しかも大抵の場合、恋愛は男からジャブを打たないと始まらない。試行しては跳ね返され、また試行しては呆気なく跳ね返される。男は多かれ少なかれみんなこういう理不尽を経験している。
ただでさえ僕は傷つきやすいのに、ヘラったところで誰も助けてくれない。自分が強くなるしか、生き残る道はない。世知辛いね~。
ていうか、出会いないんだよ。前にも言ったけど。
まずはそこの問題を突破するために、職場の先輩が今の彼女さんと出会った社会人サークルを紹介してもらうつもり。スポーツ関係だ。今までちゃんとスポーツをやったことがないし、この内向きな性格を直すにも丁度いい。
彼女を作るのはもちろんとして、まずは出会いたい。異性と話したい。
気軽にメッセージを送ったり、時には相談に乗ったり励まし合ったり、相手のプライベートにちょっと自分がお邪魔してもいいような、そんな関係性を作りたい。
仕事が一段落して、悠々自適な休日を過ごして精神的に安定してきたので、ちょっくら頑張ってみようと思う。見たことない世界が待ってるだろうな。
そう思うとちょっとわくわくしてきた。
不思議だな。なぜか大丈夫な気がしてきた。根拠はないけども。
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