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光のないクリスマスツリー
私は、光っていないただのクリスマスツリーだ。
扉が開く度に、外のキラキラした世界が見える。それと同時に、凍りついてしまうほどの風が体を刺す。
帰ってきた人々は、矢継ぎ早に傘の雨粒を振り落としている。
雨が降っているようだ。
様々なオーナメントで装飾された自分の体を眺め、近くにあるランプの光に眩しさを感じながら、ふと扉の外の世界に目をやる。
装飾は私の方が多いはずなのに、キラキラと輝くクリ
バク転選手権 虫界隈
外で鈴虫が鳴いている。
超人がバク転する前に、観客に求める手拍子のようなリズムで鳴いており、
そこではおそらく虫界隈でのバク転選手権が開催されている。
優勝は間違いなくダンゴムシだろう。
あの選手は、転がることに関してはスペシャリストだ。
ただ、誰かが、押してくれないと自発的に回ることはできないのがマイナスポイントだ。
と、誰も興味がなさそうな大会の優勝虫を予想していたら、
また、次の選手が