光のないクリスマスツリー
私は、光っていないただのクリスマスツリーだ。
扉が開く度に、外のキラキラした世界が見える。それと同時に、凍りついてしまうほどの風が体を刺す。
帰ってきた人々は、矢継ぎ早に傘の雨粒を振り落としている。
雨が降っているようだ。
様々なオーナメントで装飾された自分の体を眺め、近くにあるランプの光に眩しさを感じながら、ふと扉の外の世界に目をやる。
装飾は私の方が多いはずなのに、キラキラと輝くクリスマスツリー達だらけだ。気に食わない。
これほど着飾っているのに。
私も光ってみたいな。
そう呟いていると、また扉が開いた。
寒さに震えながら帰宅した2人が、笑いあいながら、お互いの服にある氷の結晶をはらう。
先程まで降っていた雨が、雪に変わっていた。
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