shortage
“ママ、このぬいぐるみ欲しいの”
透明のガラスの中にディスプレイされた
真っ白なクマのぬいぐるみ
それを指さした、幼かった私は
必死に母親に縋った
“ママ、あそこいきたいの”
“ママ、聞いてっ”
母は、そう得意げに話す私の顔を
しっかり見て微笑んだ。
優しい温もりの感じるその手がいつも
私をしっかり握っていて
私も優しく握り返す
“ママ!!聞いて”
“ママ!!”
“ママ…”
ねぇ、ママ‥私を見て
いつからだろうか
あんなに優しくニコっと
笑い返してくれた顔も
離さず握っていた私の右手も
気付けば冷たくて、
温もりを感じなくなった
私を見てほしい
私を愛してほしい
ママだけは、私を捨てないでくれますか
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