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学校の先生の「定額働かせ放題」からの脱却に向けての最近の動向から考察してみる。

学校の先生をしている夫です。

本日の夫、久々に子どもが寝る前に帰宅できました。
こんな日は、週に2日くらいかな?
あとは子どもが寝静まっている頃、帰宅し、遅い夕食・入浴を済ませ、寝落ちているようです。

妻の私も会社勤務、帰ってきてからの家事、子どもの面倒を見る、といったことが日課になっています。
遅く帰ってきた夫には申し訳ないけど、先に寝ていることもあります。

そんな毎日ですので、夫と夜、話せたことがちょっと嬉しく感じます。

毎日、もう少し早く帰宅できるといいんだけどな、
夫が心身ともに健康でいられるためにも、早く休めるといいんだけどな、

いつもそんな願いをしています。

そんな私の願いが叶うことの前兆なのか、教員の「定額働かせ放題」に関するニュースを耳にすることが多くなりました。

妻の私としても、精神面で不安定な夫が少しでも楽に「先生」ができる環境になることを思うと、嬉しく思います。

学校の先生の労働に関する最近のニュース
・公立中学校の休日の部活動の地域移行化

夫も私も、中学・高校時代は運動部に加入していました。
部活動で成長できたことは多々あると実感しており、いまでもあの頃の体験があったからこそ、今の自分がある、と感じています。

「運動部の顧問の先生は厳しい。」
「あの先生を怒らせたら、大変なことになる。」

このように感じている方も多いかもしれません。
実際、私も同じように感じています。

また、こんな経験はありませんか?
「大会が終わったばかりだし、今週末は休みかな?」
と部員で期待していたのも束の間、
「次の日曜は1日練するから、お家の人に昼食を作ってもらいなさい。」

鬼コーチならぬ〇〇・・・と思ったことも何度もあります。

ただ、その頃の顧問の先生、休みもなく、部活動に従事していらっしゃったんだな、と改めて思います。

本来なら、疲労が溜まっていることでしょうから、休みが欲しいと考えていらっしゃったかもしれません。

そのような考えのところ、
「少しでも上手くなってほしい」
「試合で好プレーが出せるようになってほしい」
こういった考えが勝っていたのかもしれません。

中学校の部活動は全員加入、という話は一昔前よく聞かれた話ですが、最近はどうなのでしょう?

中学校の先生方にとって、部活動の顧問をする時間は少なくありません。
平日でも下校時から18時頃まで(?)部活動に従事する先生が多いことでしょう。

それから、日々の残務整理をしてからお帰りになる、
週末も大会やら、練習試合やらで休む間もない、
そんな先生方もかなりの数かと思います。

本来、部活動は学習指導要領において、以下のように位置付けられているそうです。

教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、学校や地域の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。
~中学校 学習指導要領 総則編より抜粋~

さらに、先生が校長から業務時間外労働を命じる権限があるそうです。
時間外労働を命じる際の「超勤4項目」というものがあり、それは、
1 生徒の実習に関する業務
2 学校行事に関する業務
 ※学芸的行事・体育的行事・及び修学旅行的行事を指す。
3 職員会議に関する業務
4 非常災害等やむをえない場合に必要な業務
なのだとか。

この記載に則ると、部活動は自主的な活動であり、学校の先生の部活動の業務は「先生が自発的に行っている」ことになっている、とのこと。

つまり、部活動は学校教育の一環となっているものの、
本来の業務とは言い切れないものとなっているため、休日の給与は発生しないことになっているのだとか。
※一応、特殊勤務手当は出るものの、労働基準法に定める最低賃金には到底及ばない金額が定められているそうです。

何とも曖昧な位置付けがされている中、その状態を数十年、このままにしていたことも事実です。

そこで、冒頭のニュース。

スポーツ庁の有識者会議が、2023年度から2025年度末までの3年間をめどに、休日の運動部活動から段階的に地域移行するよう提言した、というニュース。

本来の位置付けからすれば、「地域の人々の協力」を仰ぎながら進めていく活動であるため、これまであまり進まなかったことに疑問を感じます。

これにより、まずは中学校の先生方が休日の運動部活動から解放されることが期待できる・・・と考える気がしました。

ただ、これはこれで、学校の先生方がパラダイムシフト(物の見方や考え方を変えること)をする必要があります。

①部活動を精力的に行ってきた先生方
部活動に全てを掲げてきた先生方にとっては不満があるかもしれません。
地域に移行するから部活動に携わることが全く無くなるわけではありませんが、休日にまとまった時間帯、生徒と一緒に活動することが生きがいと考えていた方からは反対意見が出るかもしれません。

これについては、地域の方が主体となった活動に、希望する先生がそれこそ自主的に参加をすることになることでしょう。

ただ、振替休日や特勤手当がつかないことに反対意見がつくかもしれません。

②休日の活動の際のケガや事故への対応
ケガなく活動をすることは誰しもが願っていますが、不測の事態によるケガが起こらないとは言い切れません。

仮に、ケガをした生徒が発生した場合、地域の方から先生に連絡をするようでは、地域移行の本来の趣旨から外れてしまいます。

その際、その後の対応や家庭への連絡方法をどうするのか、という点は検討事項になるかと思います。

③地域の人材は豊富にあるのか?
そもそも、地域に移行するにも、人材が無ければ移行することもできません。
都会には都会の、地方には地方の課題があることでしょうから、すんなりと地域へ移行するということができるとは言えないでしょう。

また、地域に移行するにも、財源が必要になります。
そんな中、こんなニュースも。

まだまだハード面、ソフト面とも課題がありそうです。

きっと学校の先生の働き方についても過渡期を迎えていることと思います。
「子ども達のため」の活動をするにも、まずは、「学校の先生、ご自身のため」にイノベーションが必要です。

お忙しい先生方、お身体ご自愛ください。



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