【製本のある暮らし】欲しいものはすでに持っている、ということを多くの人は知らない。
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3月22日、朝おきて、名残雪というには語弊があるような積雪にびっくりした。私の住む新潟では、この時期雪は降ってもここまで積もることは滅多にないので、さすがに白一色の風景は驚きました。
3月、放射冷却で田んぼの水たまりに薄い氷が張ることがあります。これを蝉氷(せみごおり)と言います。蝉の羽のように薄く、パリッと割れてしまうところからきています。冬の終わり、早春の時期の表現に夏の生物を比喩として使うところは、日本人の想像力と感性の豊かさを表していますね。
私が子供の頃は、今ほど水田は完備されておらず、雪解け水を貯めて苗代(なわしろ)を作ったものです。
蝉氷が溶け、水がぬるむようになるとカエルの卵がそこかしこに現れます。そしてメダカや小鮒が泳ぎ回ると私たち子供はワクワクし、それらを追い回します。少しでも大きな獲物を捕まえようと田園や小川を走り回ったものです。
子供達にとっての小川は、その後の人生に必要なものの全てがあったと思います。
ここで言う子供達とは小学1・2年生、6~7歳の年齢です。そのくらいの子供にとっての小川は非常な学びの場所です。大人なら軽くまたげる、幅で言えば1メートルほどでしょうか、そこに大人になっても追い求める全てがあったのです。
私にも経験があります。この小川を飛び越えようとするとき、心が早鐘を打つような感覚があります。越えられるか?落ちるか?、足を着くことが出来るゆるい斜面はどこ?、もし落ちそうになったら掴まれる草はある?、そして飛ぶことを決意します。
助走は?、走らないでここから飛ぶ?、
いっせーの、せっ!!・・・・・
・・・・・・飛べた!飛べた!!
興奮と達成感と自信、これらをあの時学んでいたのですね。
6~7歳くらいの子供の脳波は7Hzほどだそうです。年齢が上がるにつれ、脳波は高くなっていくのですが、この脳波と同じ状態が大人にもあります。それは催眠状態の時なのだそうです。
ある人が実際に催眠術にかけられたときの経験です。催眠術師はチョークを手に火の着いたたばこと説明をし、それを催眠にかけられたその人の腕に押し付けます。催眠にかけられた人は熱さのため腕を引っ込めます。催眠がとけ、何事もないことを理解した次の日に驚くべきことが起きたそうです。
昨日チョークを押し付けられたところに水膨れが出来ていたのだそうです。脳は昨日のことを事実だと認識し、身体はそれに反応していたのです。
このことで解かるように脳は子ども時代に経験することすべてを信じます。疑うことなく全てをDNAに記録するのです。
小川を前に心が早鐘を打つ経験にはノルアドレナリンが関係します。緊張状態で脳は「戦え」と戦闘モードになります。越えるための分析をし、決断します。
いっせーの、せっ!!で超えられたとき、できた!という達成感が湧いてきます。このとき、気持ちいいと感じる快感物質のドーパミンが関係します。
貴方の夢は何ですか?
貴方の欲しいものは何ですか?
夢が叶ったとき、嬉しくて幸福感を感じる。
欲しいものが手に入ったとき、嬉しいし気持ちいい。
夢や欲しいものを手に入れる、あるいは幸福感を感じたいと人々は願います。しかし思い通りにならないと悩み、苦しみます。
悩み苦しむのはなぜか?
それは常識が邪魔するからです。常識とは皆がそれで間違いないと思っていること、言わば他人の考えです。他人の考えで自分の達成感や幸福感は得られないということです。
子供が小川で捕まえた小鮒、大人がブランド品や高級車などを持ったときの心持ちは同じものです。それを手にするまでのノルアドレナリンやドーパミンのわずかな分泌、それと幸福感をかんじるセロトニンの分泌にすぎないのです。人間はそれら脳内物質のわずかな分泌を欲しているだけなのです。
そのことが解かれば、本当に欲しいものはすでに自分の中にあるのです。脳内物質のわずかな分泌、それが全てです。悩んだり苦しむことが馬鹿馬鹿しくなります。
現在、個展に向けて制作に励んでいますが、私にとって個展自体はさほど重要ではありません。作品制作で越えなければならない技術があり、それはあの頃の越えたい小川を目の前にしているときと同じ気持ちです。
私が本当に欲しいものは、今現在経験していること、目の前の小川を飛び越えるときと同じドーパミンやノルアドレナリンのわずかな分泌で得られるワクワク感と達成感です。
個展という催事やお金は、それらの分泌が欲しいがための動機と道具でしかないのです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。
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