刑法#28 詐欺罪①
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詐欺罪
→成立要件
①相手を騙す行為
②①により相手方が錯誤に至る
③②により、財物や利得を交付する(財産的処分行為)
刑法246条
一項
→財物罪※客体は財物である。
利益を得るのは騙した者以外の第三者でも成立することに注意
二項
→利得罪※客体は財産上の利益である。
恐喝や強盗、詐欺には利得罪があるが窃盗にはないことに注意。なので財産上の利益を得るだけでは窃盗罪として成立しない。このような類型を利益窃盗という。
たとえば、あるものが飲食店で食事をした場合。
①もともと食事に対して支払いをする気がない場合
→料理を注文すること自体が詐欺の実行行為であり、飲食店が食事を出せば既遂となる。
※一項詐欺
②食べ終わってから金がないことに気づいて逃げた
→騙してはいないので詐欺ではない。逃げることにより債務を間逃れているため利益窃盗となる。※つまり刑法上罪には問えない。しかし、民事上の債務不履行責任は当然残る。
③食べ終わってから金がないことに気づいて、ATMで金をおろすといって逃げた。
→騙す行為があり、それにより支払いが猶予されるという利得が生じている。そのため、二項詐欺が成立する。
【不可罰的事後行為と詐欺】
一部の連続した犯罪は、前犯罪のみが罪には問われ、後犯罪は罪には問われない類型がある(通常は併合罪として成立するが、そうならない)。それを不可罰的事後行為という。
例えば、花瓶を盗み、そのあとに破壊したなら、窃盗+器物損壊と考えがちであるが窃盗のみが成立する。
なお、金がないのに飲食店で料理を注文して飲み食いして、料理の一部を隠してもって逃
げた場合、詐欺+窃盗であるが、この場も不可罰的事後行為として詐欺罪のみが成立する。
不作為による詐欺
→たとえば買い物をしたとき、釣り銭を多く渡されたことに気づいたならそのことを告知しなければ不作為の詐欺となる。
→なお、後になって気づいたなら、欺く行為がないため、横領の問題となる。
→銀行に誤った振り込みがあった場合も告知義務があり、勝手に引き出したなら不作為の詐欺となる。
詐欺罪の成立と財産的処分行為
→詐欺罪は、欺く行為と欺かれた者の錯誤と、それによる財物や利得の交付が要件となる。最後の要件を財産的処分行為という。
たとえば、借りた物を自分のものにしようと盗まれたと貸し主に報告した場合、そこまでであれば単なる嘘にすぎず、財産的処分行為もないことから詐欺罪とは言えない。
次に、客を装い、服を試着したままトイレにいくといい、逃げた場合、これも財産的処分行為がないため詐欺とはならない。ただし窃盗にはなる。
なお、詐欺罪は人を騙すことからはじまり、機械相手では成立しない。※窃盗となる。盗んだキャッシュカードで、ATMを使う。磁石でパチンコ台の玉を誘導するなど。
あるものがキャッシュカードと銀行通帳、印鑑を盗んだ場合、まずそれで窃盗となる。
さらに、キャッシュカードでATMから金員を引き出せば窃盗+窃盗の併合罪。銀行窓口で預金通帳を出して引き出そうとすれば窃盗+詐欺の併合罪となる。※銀行員に対する詐欺
→財産上の処分権限があるものであれば、必ずしも被害を受けるものが騙される者でなくともよい。
演習問題
次の設問に○か✕かで答えよ。
①買い物をした際に、店員から受け取ったつり銭が多いことに帰宅後に気がついたが、そのまま返さずに自己の用途に消費した場合、詐欺罪が成立する。
→✕ 占有離脱物横領罪となる。つり銭をもらうときに気づいてそれを店員に報告しなかったのであれば不作為による詐欺罪が成り立つ。
②甲が100万で売却してほしい旨を依頼されて乙から株券を預かり、真実は丙に対し100万で売却したのにも関わらず、丙と相談の上、80万でしか売れなかった旨を虚偽報告して乙を誤信させ、乙に80万を渡し、残りの20万を甲と丙で分配した場合でも詐欺罪が成立する。
→✕ 横領の手段としてウソをついただけであり、財産的処分がないため詐欺罪は成立しない。
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